タリスカー蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!

スコッチ
出典:whisky.com

タリスカー蒸溜所はどこにあるの?

タリスカー蒸溜所は、スコットランドのスカイ島にあります。

『Talisker(タリスカー)』は古代ノース語で「傾いた大岩」という意味です。

また、スカイ島の年間平均気温は以下のグラフの通りで、年間を通して気温差が少ないとても穏やかな土地です。

データ元:NOAA

タリスカー蒸溜所の歴史について教えて!

1830年、MacAskill(マカスキル)兄弟が、ハーポート湖の騎士にあるカーボストにタリスカー蒸溜所を建設しました。

1857年、蒸溜所はDonald McLellan(ドナルド・マクレーン)に買収されました。

1863年にマクレーンは破産したため、グラスゴーのJohn Anderson(ジョン・アンダーソン)に蒸溜所の権利を渡しました。

1898年、トーマスマッケンジーと合併して、Dailuiane-Talisker Distillery Co. Ltd.を設立しました。

1928年、スコットランド全体で一般的であった3回蒸溜が放棄されました。

1941年、世界大戦のために、一時的に閉鎖しました。

1960年、火事によりスチルハウスが焼失しました。火事によって失くした5つのスチルは石炭加熱のものに1962年に置き換えられました。

1972年、フロアモルティングが閉鎖され、代わりにモルトはハイランド地方のグレンオードセントラルモルティングからの買い付けに変更になりました。

製法の特徴は?

原料について

スカイ島は「ミストアイランド(霧の島)」と呼ばれるほど頻繁に雨が降っています。タリスカー蒸溜所は、そんな雨水から生まれる湧き水を仕込み水に使用しており、ホークヒルという蒸溜所の近くにある湖から水をひいています。

また、スカイ島は泥炭(ピート)層が豊富なため、独特なスモーキーなフレーバーがつきます。

原料の大麦は、1972年まではフロアモルティングにより自分たちで精麦していましたが、現在はハイランド地方のグレンオードセントラルモルティングからの買い付けに変更になりました。

糖化について

出典:Whisky.com

原料の大麦麦芽(モルト)は粉砕され、糖化槽へと運ばれます。糖化槽では先ほど説明したホークヒルの水を約70℃に加熱してから加え、モルトに含まれる糖質を水に溶けださせます。これにより、得られる甘い汁を麦汁またはウォートと呼びます。

発酵について

出典:Whisky.com

ウォートは次に発酵槽(ウォッシュバック)へと運ばれます。タリスカー蒸溜所は6基のウォッシュバックを使用しており、すべてオレゴンパインで作られた木製です。木製にすることで、木にその蒸溜所特有の酵母や乳酸菌が住み着き、その蒸溜所らしさを与えてくれると考えられています。

ウォッシュバックに運ばれたウォートは酵母が添加され、発酵が開始します。発酵は一般的には50時間程度ですが、タリスカー蒸溜所は70時間もかけて発酵を行うことで、独特のフルーティな香味を生み出しています。

発酵を終えると度数約8%ほどのウォッシュと呼ばれる、ビールによく似た液体になります。

蒸溜について

出典:google map

タリスカー蒸溜所は初溜用のウォッシュスチルが2基と、再溜用のスピリットスチルが3基の合計5基のポットスチルを使用しています。ウォッシュスチルは容量約10000リットル、スピリットスチルは約7500リットルです。

タリスカー蒸溜所の初留基は蒸気が流れるラインパイプがU字になっており、重い成分はこのU字の先にある精留器によって再びポットスチルに戻されます。これにより、気化と液化を繰り返すことでよりクリーンな初留液が生まれます。

この仕組みはタリスカー蒸溜所の独特の特徴を出すために、とても重要な要素であると考えられています。

また、蒸気の冷却方法にもこだわっており、ワームタブという昔ながらの方法で蒸気を冷却し液化させます。ワームタブは、冷水のタンク(”タブ”)に、コイルのようにぐるぐると細長い虫(”ワーム”)のようにパイプを通し、そのパイプの中に蒸気を送ることでゆっくり冷却する仕組みです。

この方法はスコットランドではとても伝統的で一般的な方法だったのですが、ワームタブコンデンサーの使用には、ゆっくりとした蒸溜が必要なため、生産量を求める20世紀にはやや不利になりました。

そのため現在では、スコットランドで12の蒸溜所しか採用していません。

画像はアードナッホー蒸溜所のワームタブ 出典:ardnahoedistillery.com

樽詰めと熟成について

出典:Whisky.com

タリスカー蒸溜所では主にバーボン樽かシェリー樽を熟成に使用しています。
バーボン樽はアメリカン・オークから作られており、シェリー樽はヨーロピアン・オークから作られています。

スコットランドでは法律により、ウイスキーは最低でも3年間熟成させなければいけません。それほど長い年月をかけて熟成することで、とても芳醇な香りを放つようになります。

各原酒を厳格にチェックし、蒸溜所の求める味になるように各原酒の個性を専門のブレンダーが把握し、ブレンドすることで製品として出荷されます。

マメ知識~スカイ島唯一の蒸溜所ではなくなった~

現在販売されているタリスカーはラベルに「the only distillery on the isle of skye(スカイ島唯一の蒸溜所)」というキャッチコピーが書かれているのですが、2017年から「トラベイグ」という蒸溜所が新設されたため、この文言が使えなくなってしまいました。

そこで、タリスカーは現在、ラベルの文言を変更中だそうで、「スカイ島唯一の蒸溜所」と書かれたタリスカーは今しか買えないものとなりそうです。

タリスカー蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?

以下、紹介文・テイスティングノートなどはタリスカー蒸溜所のホームぺージより引用しています。

タリスカー 10年

「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」などの著書があるR.L.スチーブンソンが「King o’Drinks(酒の王様)」と絶賛したタリスカーを代表する商品。10年の熟成を経たタリスカーは、正にスカイ島のラギットな自然をそのままボトルにしたような強烈な個性を持っています。

テイスティングノート:

度数45.8%
輝くようなゴールド
香りほのかな海水の塩、生ガキそして柑橘系の甘みを感じさせる、力強いピートのスモーキーな香り
煙るようなスモーキーさと力強いモルトの香味を伴う、豊かなドライフルーツの甘み。温かく、情熱的。のどの奥にペッパーの香りを感じる
余韻食欲をそそる甘みを伴った、広大な、長く温かいペッパーを伴うフィニッシュ。

タリスカー ストーム

「タリスカー」の特徴である潮の香りとブラックペッパーの風味をさらに際立たせ、爆発的な味わいを強調。嵐の海を表現した非常にラギッドなテイストに仕上げた1本です。口に含むと、まさに荒々しいスカイ島の海岸線が思い浮かぶような、スパイシーさに驚かされます。そして甘みとスモーキーさ、潮の風味が奏でる絶妙なバランス。タリスカーの理想の味わいです。

テイスティングノート:

度数45.8%
光り輝くゴールド
香りスパイシー、甘美なスモーキーさと蜂蜜のような甘いモルト香に、はじけるようなペッパーの香り。
最初の甘美で豊かな甘みの後にすぐ、嵐の始まりのような、熱くなるようなスパイシーさが続く。そして甘み、スモーキーさと塩気のほどよくバランスのとれたエレガントな味わいが徐々に広がる。
余韻クリーンで口内が温かくなるような尾を引く後味。

タリスカー ポートリー

ポートワインの樽で追加熟成した、特別なシングルモルトです。その味わいは、タリスカー独特の力強い潮と黒胡椒の風味と、ポート樽由来の赤いベリーのリッチな甘い香りが融合した、最高のコントラストが楽しめるモルトファン垂涎の味わいに仕上がっています。控えめな甘みのポートリーは、ストレートで。甘さ控えめなポートリーは、香り高いチョコレートとマッチ。ポートリーは、ベリーの甘さを引き立てる。

度数45.8%
赤みがかった深いブラウン
香り完熟したプラムのような甘さを伴う、枯れ木を燃やしたようなスモーキーさ。
口に含むと真っ先に舌に黒胡椒の風味が表れ、その後ピートの風味が押し寄せる。スパイスと赤い果実の風味が入り混じったようなクリーミーなスモーキーさが表れる。
余韻ドライなスモーキーさが消えずに非常に長い余韻を残す。

タリスカー 18年

2007年に「世界一のシングルモルト」と賞された究極の1本。タリスカー独特のスパイシーさやスモーキーさは熟成によりエレガントなバランスに、そして余韻は何時までも続くかのごとく長く、非常に温かみのある味わいにファンが多い。完璧なバランスの18年は、オン・ザ・ロックで ゆっくりと。ソーセージの肉汁とタリスカーは、互いの風味を引き立て合う。濃厚でスパイシーなカレーの風味を、キリッとしたタリスカーがしめてくれる。

テイスティングノート:

度数45.8%
美しい琥珀色
香り豊かでフルーティ。ビクトリア・プラム、グリーンゲージ(セイヨウスモモ)、オレンジの皮、バタースコッチあるいはラムトフィー、背景にスモーキーさを感じる。このスモーキーさが次第に前面に出てきて、トフィーの香りに軽いミントの香りが絡んでくる。加水すると、ボートの乾いたワニス、食べられる海藻など、海洋性のキャラクターが頭をもたげてくる。甘さは続き、ヨード、火をつけていないマッチといった香りも立ってくる。
前面に甘みが広がり、その後、かすかなスモーキーさを伴ったより主張の強い味わいへと変化する。全体的に温かみのある味。次第にスモーキーさ、タール、トフィーといった味が立ってくる
余韻中くらいの長さのフィニッシュ。特徴的なチリペッパーのような香りが後味の中にかすかに感じられます。

タリスカー 30年

現行で発売しているものの中で最も長熟のタリスカーです。非常に希少な原酒を年1回ボトリングしています。エレガントな香りはタリスカーであることを一瞬忘れさせようとしますが、口の中に広がる味わいはまさしくタリスカーそのもの。タリスカーファンには是非一度味わって欲しいドラムです。

度数45.8%
温かみのあるゴールド
香り自己主張は強くない、控えめな中にも潮のニュアンス。新しいヨットのニス、スパイシーさと海の香り。ほのかなスモーキーさ。加水すると潮の香りは弱くなり、若干甘い香りが顔を出す。
口当たりはゆっくりと甘みが広がり、次第に苦味と塩気。そしてわずかなスモーキーさの後で隠し味のようにペッパーの風味と辛みがあらわれ、口の中が乾いたような感覚に陥る。ミネラルとトーストの風味。加水するとゆっくりと甘みが現れ、優しい味わいに変化していくが、胡椒の風味が舌を覆う。
余韻長く、わずかな苦味とスモーキーさを感じながらも非常にドライ。

タリスカー ディスティラーズ エディション

タリスカー・ディスティラーズ エディションはアモロソ(シェリーの一種)カスクで二段熟成されています。このカスクはタリスカーの身上である力強いピートの効いたペッパーのフレーバーに、絶妙のマッチングとなるリッチでフルーティな甘みを加えるために厳選されたもので、より豊かな絵画のようなまろやかな口当たりを実現しています。

度数45.8%
栗のようなブラウン
香り目を見張るような、伝説を感じさせる資質。極めてシャープで焦点がぎゅっと絞られた香り。素晴らしいサルタナの甘み、クリーンでじらすような魅惑的な香り。
荘厳;しゃきっとしたピートの味わいが大きな豊かな味にうつろい、一抹の甘み、ローストしたモルトを感じさせる。ヘザーのようなドライさ。ウッドの味わいがペッパーに程よく絡む。甘美で僅かにオイリーな甘み。良く熟れたジューシーなフルーツ。
余韻深みのあるココア、微細なバニラ、そして長く尾を引く、土を感じさせるピーティさ。壮大なほどに噛み応えがあり、エッジのきいた甘み~甘みとドライさのバランスが素晴らしい。

コメント

  1. […] […]

  2. […] あなたにおすすめの記事↓『ディアジオ社が開発した最も二酸化炭素排出量が少ないガラス瓶を使用したウイスキー!』『タリスカー蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!』 […]

タイトルとURLをコピーしました