アードナッホー蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!

スコッチ
出典:ardnahoedistillery.com

アードナッホー蒸溜所はどこにあるの?

アードナッホー蒸溜所は、スコットランドのアイラ島にあります。
アイラ島では9つの蒸溜所が現在稼働しており、ウイスキーの聖地とまで言われることもあるほどの島です。

『Ardnahoe(アードナッホー)』とはゲール語で『窪地を望む丘』という意味だそうです。

アイラ島の年間平均気温は以下のグラフのとおりで、年間を通して気温差がとても少ない場所です。夏は20℃を超えることが珍しく、冬は雪が滅多に見られない、日本に比べ比較的穏やかな気候です。

データ元:NOAA

アードナッホー蒸溜所の歴史について教えて!

1940年代、アードナッホー蒸溜所の創業者(スチュワート・レイン)の父親がブレンド兼ボトラーの会社を設立したことから始まります。この会社のおかげで、スチュワート自身にウイスキー業界での経験や、スコットランド各地のウイスキーのストックが60年以上にわたって蓄えられていきました。

2013年、スチュワートと彼の息子アンドリューとスコットがスコッチウイスキーのブレンダー兼ボトラーとしてグラスゴーを拠点とするハンターレインアンドカンパニーリミテッドを設立したとき、彼らは、自分達でウイスキーを作る計画を始めました。

彼らは、アイラ島の独特のピートウイスキーへの強い敬意を持っており、蒸溜所の建設はアイラ島以外では考えられませんでした。

2015年、彼らは島の北東にあるアードナッホー湖と4エーカー(約1.6万平方メートル)の敷地を見つけ、2016年後半にその土地を購入しました。

蒸溜所は2018年10月に稼働を始め、同年の11月9日にCask番号001番が樽に詰められました。

製法の特徴は?

原料について

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アードナッホー蒸溜所は、施設のすぐそばにあるアードナッホー湖の水を使用しています。アードナッホー湖の水はピートと岩石によって濾過された非常に柔らかい水です。

大麦はポートエレンという精麦業者から40ppmになるように、ピートの香りをつけたものを買い取っています。

粉砕機について

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大麦を粉砕するための粉砕機は約100年前に製造されたビッカーズボビーミルを使用しています。アードナッホー蒸溜所で使用している機械で唯一、新品ではないのはこの粉砕機だけです。

粉砕された大麦はグリストと呼ばれ、次の糖化の工程へ移ります。

糖化について

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糖化槽(マッシュ・タン)は銅製のドーム型のものを使用しています。アードナッホー湖の水が加熱され、グリストと混ぜ合わせられます。

これにより、グリストに含まれる糖分が水に溶けだし、「麦汁(ウォート)」と呼ばれる甘い液体になります。さらにアードナッホーの場合は、原料の大麦が40ppmのおものを使用しているため、甘くスモーキーな麦汁になります。

糖化工程での温度は非常に重要で、熱すぎると大麦に含まれる糖化酵素が死んでしまい、逆に冷たすぎると効率よく糖分が溶け出してこないのです。そのため、温度や混合速度、品質が常にチェックされています。

糖化後に残る「ドラフ」とよばれる大麦の殻は、地元の農家に運ばれ、牛の飼料として使われます。

発酵について

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アードナッホー蒸溜所では、木製(オレゴンパイン)の発酵槽(ウォッシュバック)を4基使用しています。

これらのウォッシュバックはダフタウンのJB Vatsによって設計されました。

麦汁をウォッシュバックへ移し、酵母を添加すると発酵が開始します。酵母が糖分を代謝し、アルコールと二酸化炭素に変換するのです。二酸化炭素により麦汁は激しく泡立ち約50時間後、糖を使い切ると、酵母はウォッシュ(発酵液)の底の沈みます。

その後、乳酸菌が活発になることにより様々な香味成分が生成され、合計で約65~70時間の発酵時間を設けることで、アードナッホー蒸溜所のウォッシュはとてもフルーティな香りを放ちます。

蒸溜について

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アードナッホー蒸溜所では、スペイサイドのカッパーワークスによって製造された2つの蒸溜器を使用しています。

蒸溜器はランタン型で比較的大きく、初溜用のウォッシュスチルは容量約13000リットル、再溜用のスピリットスチルは11000リットルです。

ゆっくりと穏やかに蒸溜することで、アードナッホー蒸溜所が望む、フルーティでピーティな高品質の原酒を作り出します。

冷却機について

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アードナッホー蒸溜所では、蒸溜した蒸気の冷却にワームタブコンデンサーを使用しています。

ワームタブコンデンサーとは、冷水のタンク(”タブ”)に、コイルのようにぐるぐると細長い虫(”ワーム”)のようにパイプを通し、そのパイプの中に蒸気を送ることでゆっくり冷却する仕組みです。

この方法はスコットランドではとても伝統的で一般的な方法だったのですが、ワームタブコンデンサーの使用には、ゆっくりとした蒸溜が必要なため、生産量を求める20世紀にはやや不利になりました。

そのため、この冷却方法を採用しているのはアイラ島ではアードナッホー蒸溜所だけです。

樽詰めと熟成について

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アードナッホー蒸溜所では、約70%をバーボン樽、20%をオロロソシェリーホッグスヘッドを使用しています。

熟成に使用される樽の種類について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

スコットランドでは、法律によりウイスキーは最低3年以上熟成させなければいけません。この間、毎年約2%の割合で原酒は蒸発していきます。これは「エンジェルズシェア(天使のわけまえ)」と呼ばれるものです。

また、アードナッホー蒸溜所で熟成されたウイスキーは海の雰囲気を吸収し、独特の香りが与えられると考えられています。彼らの目的は、クラシックなスモーキーでダイナミック、そしてフルボディなピートスタイルのアイラシングルモルトウイスキーを作ることです。

3D蒸溜所見学体験

以下にアードナッホー蒸溜所のサイトで見れる、3D蒸溜所体験のリンクを貼っておきます。
実際にアードナッホー蒸溜所に行ったかのような、体験ができます!現代ならではのすばらしい試みだと思います。なかなか行くことが難しいアードナッホー蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。

アードナッホー蒸溜所_3Dバーチャルツアー

アードナッホー蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?

アードナッホー蒸溜所は2018年10月に製造を開始したため、法律により3年以上熟成させなければいけないので、最短でもシングルモルトウイスキーが販売されるのは2021年になります。

スコッチは平均して10~12年程度熟成させることがほとんどですので、もっと先になるかもしれませんね。

終わりに

以上、アードナッホー蒸溜所特集でした!

つい最近できた蒸溜所で、まだシングルモルトを販売していない段階ですが、製造工程を知ると、とても興味が出てきました!ワームタブコンデンサーの影響が気になります。

早く飲みたいですね!

ではまた、お会いしましょう!

乾杯!

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