ラフロイグ蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!

スコッチ

今回は、「ラフロイグ蒸溜所」特集です。

ラフロイグのウイスキーは「好きになるか、嫌いになるかのどちらか(You either love it or hate it.)」というキャッチコピーを出しているほど、クセの強いウイスキーとして有名です。
また、英国の王室御用達の許可証を受けるほどその品質の高さと香味の豊かさが認められています。

この記事では、そんな蒸溜所の製法や歴史について詳しく紹介しています。
この記事が何かの役に立てれば嬉しいです。

ラフロイグ蒸溜所はどこにあるの?

ラフロイグ蒸溜所は、スコットランドのアイラ島にあります。
アイラ島では8つの蒸溜所が現在稼働しており、ウイスキーの聖地とまで言われることもあるほどの島です。

「ラフロイグ」とはゲール語で「広い入り江の美しい窪地」という意味で、その名の通りとても自然豊かで悠然とした場所に建っています。

出典:ラフロイグ蒸溜所ホームページ

アイラ島の年間平均気温は以下のグラフのとおりで、年間を通して気温差がとても少ない場所です。夏は20℃を超えることが珍しく、冬は雪が滅多に見られない、日本に比べ比較的穏やかな気候です。

データ元:NOAA

ラフロイグ蒸溜所の歴史について教えて!

出典:laphroaig.com

1815年頃、ドナルドとアレクサンダージョンストンの二人の兄弟が、牛を飼育するためにアイラ島に1000エーカー(約400万m²)の土地を借りました。牛を飼育するためには、冬の間に飼料用の大麦を育てなくてはいけません。そして、その余った大麦を使ってウイスキー作りを始めました。

1815年、ラフロイグで作られるウイスキーは特に優れていると評判になり、牛を飼育するよりもウイスキーを蒸溜する方が利益が上がりやすかったため、この年にラフロイグ蒸溜所が正式に誕生しました。

1847年頃、創業者のドナルドが亡くなりました。唯一の相続人であった息子のドゥガルドは当時11歳だったため、蒸溜所は祖父のジョン・ジョンストンと地元の農家であるピーター・マッキンタイアによって運営されることになりました。

1857年、ドゥガルドは蒸溜所の運営を引き継ぐのに十分な年齢になったため、いとこのアレクサンダー・ジョンストンとともに蒸溜所の運営を行いました。このとき、ラフロイグの名声は広がり続けていました。

1887年、アレクサンダーが亡くなり、蒸溜所は彼の姉妹であるウィリアム・ハンター婦人とキャサリンジョンストン、そして甥であるj.ジョンストン・ハンターに相続されました。また、当時の主要なウイスキージャーナリストであるアルフレッド・バーナードはラフロイグ蒸溜所を次のように報告しました。「ラフロイグ蒸溜所で作られたウイスキーは並外れた特徴を持っており、これは主に地域、水、位置など偶然の影響を多く受けています。」

1921年、ウィリアム・ハンターの息子であるイアン・ハンターが蒸溜所の運営を引き継ぎました。イアンはラフロイグの活性化に努め、1923年までに収容能力を2倍に、現在のモルティング施設や、蒸溜基であるウォッシュスチルとスピリットスチルを一基ずつ増設しました。

1929年、イアンは世界へラフロイグを広めていきました。まず、最初にスカンジナビア人がフルボディで濃厚な泥炭の煙に魅了されました。おそらく、アイラ島初期の入植者の一部であったので当然のことでした。輸出はラテンアメリカ、ヨーロッパ、カナダに拡大されました。禁酒法時代のアメリカでさえ輸出の標的にし、ウイスキーの刺激的な海藻やヨウ素の香りが薬効のある証拠であると切り出し、それをアメリカ当局が認めたことで薬用酒として輸出していました。

1940年代、イアン・ハンターには相続人がいませんでした。ラフロイグウイスキーの素晴らしい伝統を維持するために情熱、誠実さ、そして意欲をもったベシー・ウィリアムソンを見つけ、彼女にイアンが獲得したすべての蒸溜所の知識を伝えました。また、このころ第二次世界大戦によりスペインからのシェリー樽の輸入が制限され、新鮮なシェリー樽が不足しました。そこで、イアンはアメリカのバーボン樽に目を付け、1950年までにラフロイグの大部分はバーボン樽に樽詰めされるようになりました。

1954年、イアンが亡くなり、蒸溜所はベシーに遺贈されました。ベシーはラフロイグが世界的に成長し続けるには財政力を備えた国際的なグループの支援が必要であると考えました。そのため、1960年代に、彼女はラフロイグ蒸溜所をスコットランドのロングジョン蒸溜所を介してSeager Evans&Coに売却しました。

1994年、チャールズ皇太子が初めてラフロイグ蒸溜所を訪れ、蒸溜所に王室御用達を与えました。これによりラフロイグは蒸溜所や各ボトルに王室の紋章が刻まれています

王室の紋章 出典:ラフロイグ蒸溜所ホームページ

1998年、ラフロイグは他のどのウイスキーよりも多く、7つの賞を受賞しました。

2003年、世紀の変わり目、ラフロイグを世界的な賞の地図にしっかりと載せたイアン・ヘンダーソンは、2003年に引退しました。蒸溜所はロビン・シールズに引き継がれました。ロビン・シールズは、成熟への想像力に富んだアプローチでクォーター・カスクをリリースし、現在の蒸留所マネージャー、ジョン・キャンベルの下でさらなる実験の土台を築きました。

2007年、ラフロイグはインターネット上でウイスキーショーのライブ放送を開拓しました。 ショーはロンドンで45分間開催されました。 今日、各プログラムは世界中の何万人ものウイスキーファンによって見られています。 最初の番組は厳密にウイスキーに限定されていましたが、その後、放送は音楽や食べ物などを含むように拡大しました。

2009年には、ケンタッキー州のメーカーズマーク蒸留所から3回目のラフロイグライブ放送も行われました。 熟成の大部分には、メーカーズマークのアメリカンホワイトオーク樽を使用しています。

2015年、ラフロイグは200周年を迎え現在に至ります

製法の特徴は?

原料について

出典:whisky.com
出典:ラフロイグのホームページ

ラフロイグ蒸溜所では大麦(オックスブリッジ)を原料に使用しています。多くの蒸溜所が大麦を発芽させ乾燥させるまでのモルティングを業者に委託しています。しかし、ラフロイグ蒸溜所は独自のモルティングハウスを持っており全体の15%を自分たちでモルティングしています。残りの85%はポートエレンに委託しています

まず、蒸溜所の近くにあるキルブライト湖の水を使って2日間未発芽の大麦を浸します。その後、モルティングフロアの床一面に大麦を広げ15~16℃前後を保つようにし、8時間おきに職人が大麦をかき混ぜることで均一に発芽させます。

ほどよく発芽したところで乾燥の工程に移ります。「コールドスモーキング」と呼ばれる工程で、約17時間かけ泥炭を比較的低い温度で焚いて泥炭のフェノール化合物やスモーキーなフレーバをつけながら乾燥させます。これが終わると次に熱風を使って乾燥させ、乾燥が終わると粉砕され、糖化の工程へ移ります。

糖化について

出典:whisky.com

ラフロイグ蒸溜所は容量約9トンもある糖化槽(マッシュタン)を使用しています。
糖化槽の中で粉砕した大麦麦芽を67℃のお湯と混ぜることで、お湯の方に糖分を溶かしだします。糖化が終わると、糖分が溶け出た麦汁は発酵槽(ウォッシュバック)に吸い上げられます。

発酵について

出典:whisky.com

発酵槽(ウォッシュバック)は容量約42000リットルのステンレス製のものを6基使用しています。

麦汁に酵母が加えられると、酵母はまず、液中にある酸素を使って好気的に活発に増殖します。酸素を使い果たすと、酵母の代謝が嫌気的に変わり、これによって糖分をアルコールに変え始めます。ラフロイグ蒸溜所では最低55時間発酵を行うことで、ラフロイグのフルーティーな香味を十分に引き出します。

発酵が終わるとアルコール度数約8.5%のウォッシュと呼ばれる液になります。

蒸溜について

出典:whisky.com

ラフロイグ蒸溜所は7つのポットスチルを使用しており、そのうち3基が1回目の蒸溜用のウォッシュスチル、残り4基が2回目の蒸溜用のスピリットスチルです。

ウォッシュスチルはすべて容量10900リットルで、スピリットスチルは3基が容量3640リットル、残り1基が7280リットルとなっています。

ポットスチルはすべて銅でできており、蒸溜中に銅と接触することによってウイスキーに好ましくない硫酸系の香りを取り除いてくれます。
ウォッシュスチルによって1回目の蒸溜が終わるとアルコール度数約22%のローワインと呼ばれる透明な液体になります。次にスピリットスチルによって2回目の蒸溜が行われます。2回目の蒸溜では熟成に適さない蒸溜始めと終わりの部分をカットして、その間の蒸溜液のみを樽に詰めます。

ラフロイグ蒸溜所では最初のカットを蒸溜開始後45分に、その後アルコール度数が60%に低下したら2回目のカットを行います。このカットのタイミングはウイスキーの香味に大きく影響を与えるため、スティルマンと呼ばれる専門の人が判断を行います。

2回目の蒸溜が終わると次は樽詰めです。

樽詰めと熟成について

出典:whisky.com

蒸溜液(ニューメイク)はアルコール度数63.5%に加水されてからオーク樽に詰められます。
熟成庫は海岸沿いに建てられており、倉庫の周囲の環境に影響を受けながら長い時間をかけてゆっくりと熟成していきます。

使用している樽は、ケンタッキー州のメーカーズマーク蒸留所から供給された元バーボン樽がほとんどです。 それらはアメリカンホワイトオークでできており、キャラメルのような甘さ、バニラ、赤い果実、軽いスパイス、そして時にはタバコや革の香りをウイスキーに与えます。 樽は解体されてから、輸出され、現場で作り直されます。通常はホッグスヘッドと呼ばれるわずかに大きな樽として作り直されます。

熟成過程では1年に2%~4%の液体が樽から蒸発していきます。これを「天使の分け前(エンジェルズシェア)」と呼び天使が飲んでいったとユーモラスに表現しています。

熟成が終わると、各樽の個性を考慮してブレンダーが原酒を混ぜ合わせてから瓶詰めし、出荷します。

おすすめ動画

以下にラフロイグ蒸溜所の紹介をしている、おすすめの動画を貼っておきます。
動画の内容は英語なのですが、ここまでの記事を読まれた方なら英語が苦手な方でも十分楽しめる内容になっていると思います。なかなか行くことが難しいラフロイグ蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。

おすすめ動画1:Whisky Tour: Laphroaig Distillery(YouTbe)
おすすめ動画2:Laphroaig Distillery Tour(YouTube)

ラフロイグ蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?

以下、商品の紹介文・テイスティングノートなどはラフロイグ蒸溜所のホームページより翻訳しています。

ラフロイグ 10年

ラフロイグ10年は75年以上前にイアン・ハンターが開発したときと同じ方法で作られており、他のすべてのラフロイグの基礎となっています。ラフロイグを作る際に、大麦麦芽は泥炭を焚いて乾燥されます。アイラ島の泥炭はラフロイグに豊かな風味をもたらしてくれます。

テイスティングノート

濃い金色
ボディフルボディ
甘味とほのかに塩とピート
香り強烈なスモーク、海藻、薬品、ほんのり甘い
余韻長く続く

ラフロイグ セレクト

シェリー樽(ピドロヒメネス)、ヨーロピアンオーク・シェリー樽、バーボン樽で熟成したモルトをブレンド後、アメリカンオークの新樽で後熟。
多彩な樽で熟成した重層感があり、スモーキーにシェリーの心地よい甘美さがそよぎます。

テイスティングノート

スパークリングゴールド
ボディフルボディー
最初に甘味、次いでクラシックなドライ、ピート、灰の香りに続いてリッチなフィニッシュ
香り最初にピート、次いで少し乾燥した熟した赤い果実
余韻マジパンとライムが最後に残り、花のように長く続きます

ラフロイグ ロア

ヨーロピアンオークの新樽で熟成した後、バーボン樽に移し替えてさらに熟成させた“ダブルマチュアード”(二度熟成)原酒をはじめ、数種のモルト原酒をブレンドし、バーボン樽で後熟させました。スモーキーな香りと潮の香り、バーボン樽熟成ならではの柔らかな甘み、芳醇でフルーティな味わいが特長です。

テイスティングノート

フルスパークリングゴールド
ボディフルボディ
ピリッとしたスパイシーさと濃厚なピート
香り海辺のミネラルと微かに灰と苦いチョコレートの香り、リッチでスモーキー
余韻短くドライな後味と長く甘い後味。

ラフロイグ クォーターカスク

バーボン樽で熟成した原酒を、クオーターカスク(通常の樽の4分の1のサイズの樽)に入れ替えてさらに熟成しました。ラフロイグならではの、爽快なスモーキーさとほのかな甘い余韻に加え、クオーターカスクを用いることで生まれる樽由来の香りと力強い味わいが特長です。

テイスティングノート

フルスパークリングゴールド
ボディフルボディ
深く、複雑で、スモーキーでありながら、驚くほど優しい甘味
香りクロフター(スコットランドの小作人)の暖炉で燃える泥炭の残り火、微かにココナッツとバナナの香り。
余韻煙とスパイスのドライ香りがとても長く続く

終わりに

以上、ラフロイグ蒸溜所特集でした!

「王室御用達のウイスキー」かっこいいですね~(笑)
冒頭でも述べましたが、かなりクセの強いウイスキーですが、ストレートはもちろんハイボールにしても抜群においしいウイスキーです!
この記事で興味を持たれた方はぜひ一度飲んでみてください。感想・コメントお待ちしております。

また、お会いしましょう!

乾杯!

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