ベンロマック蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!

スコッチ
出典:Whisky.com
ベンロマック蒸溜所の特徴

・年間生産量約15万リットルとスペイサイドでは最小規模
・経営難が続いたが、1997年に復活し、現在は良好な状態で運営されている
・ミディアムピートのモルトを使用

・2種類の酵母を使用することで、複雑な香りをつくりだしている

ベンロマック蒸溜所はどこにあるの?

ベンロマック蒸溜所は、スコットランドの北東に位置するスペイサイド地方のフォレスにあります。

『Benromach(ベンロマック)』はゲール語で『木や草の生茂る山』という意味だそうです。スペイサイド地方は大麦の生産地であり、燃料となる泥炭(ピート)も豊富であるため、ウイスキー造りに最適な土地です。

また、フォレスの年間平均気温は以下のグラフの通りで、年間を通して気温差が少ないとても穏やかな土地です。

ベンロマック蒸溜所の歴史について教えて!

1898年にF.W.Brickmann(ブリックマン)とJohn Callum(ジョンカラム)によって蒸溜所は設立されました。2年後に生産を開始しましたが、まったく長続きせず、彼らは同じ年に蒸溜所を閉鎖しなければなりませんでした。

1911年にベンロマックはハーベイマクネア&カンパニーに買収され生産を再開しました。しかし、不幸にも第一次世界大戦で大麦が不足したためにほとんどの蒸留所が閉鎖されるのと同様に1914年に生産を再び停止しました。

その後、1966年から1983年までの短い生産期間がありました。最後に1993年にゴードン&マクフェイルが蒸留所を購入し、1997年に生産を開始しました。彼らは蒸留所を改装し、現在は良好な状態で、ようやく運営が行われています。

製法の特徴は?

原料について

モルティング工程を説明しているボード 出典:whisk.com

ベンロマックは年間生産量が約15万リットルとスペイサイドで最小の蒸溜所の一つです。

ベンロマックはスコットランド産の有機(オーガニック)大麦100%でウイスキーを仕込んでおり、すべて麦芽専用業者から仕入れています。また、スモーキーな香りが特徴の泥炭(ピート)を中程度使用した、ミディアムピートの麦芽を使用しているそうです。

粉砕機について

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ベンロマックは120年前に製造されたローラ式のボビーミルを使用して大麦麦芽を粉砕しています。

粉砕度合いは粗いものがハスク、中程度をグリッツ、細かいものをフラワーと呼びます。ハスク、グリッツ、フラワー、全体をまとめてグリストと呼びます。これらの割合が、ハスクが20%、グリッツが70%、フラワーが10%という割合が、最もウイスキーづくりに適していると考えられています。

このため、粉砕された大麦はふるいにかけ、ボビーミルの挽き具合を調整しています。

糖化について

出典:whisk.com
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グリストは蒸溜所の近くにあるロマックヒルズのチャペルトンスプリングから採水された軟水と混ぜられます。

加えられる水は一回目は約64℃程度に加熱され、グリストに含まれる糖分やデンプンを溶出させます。中にある撹拌機が回転することで、糖分の溶出が促進されます。

水は合計で3回加えられるのですが、だんだんと水の温度を上げていき、できるだけ糖分を回収します。3回目の麦汁は糖分が少ないため次の糖化の際に再利用され、1回目と2回目の麦汁が次の発酵の工程へと移されます。

発酵について

出典:whisk.com
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麦汁が発酵槽(マッシュタン)へと運ばれると、複雑な香りを与えるために2種類の酵母(ブリュワーズ酵母とディスティラリー酵母)が添加され発酵が開始します。発酵終了は専門の人が見極めるのですが、通常は3日から5日で終了します。

2種類の酵母を使用することによる影響は以下の記事を参考にしてください

また、マッシュタンはカラマツの木製で作られており、木製にすることで木にその蒸溜所特有の酵母や乳酸菌が住みつき香味に影響を与えると考えられています。

発酵を終えた液は、ウォッシュと呼ばれるアルコール度数8%程度のビールに似た液体になります。

蒸溜について

ポットスチル 手前がウォッシュスチルで奥がスピリットスチル 出典:whisk.com

ウォッシュはポットスチルという蒸溜器に運ばれ、蒸溜されます。

ベンロマック蒸溜所では、初溜用のウォッシュスチルが1基と再溜用のスピリットスチルが1の合計2のポットスチルを使用しています。容量は比較的小さめで、ウォッシュスチルが7500リットル、スピリットスチルが5000リットルです。

まず、ウォッシュはウォッシュスチルにより蒸溜されることで、ローワインと呼ばれるアルコール度数約22%程度の透明な液体になります。次にローワインはスピリットスチルに運ばれ、2回目の蒸溜が行われます。スピリットスチルは膨らみがあり、これによって蒸気が逆流することでミディアムボディーの蒸溜液を生み出します。蒸溜後の液はニュースピリットと呼ばれるアルコール度数約67%の液体です。

樽詰めと熟成について

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ニュースピリットはすべて手作業で樽に詰められると、熟成庫へと運ばれます。

ベンロマック蒸溜所ではダンネージ式の熟成庫を使用しており最高でも3段までしか樽は積まれません。また、使用する樽はワイン樽、シェリー樽、ポートワイン樽など様々な種類の樽を使用しています。

何年もの長い年月をかけて熟成させ、適切な熟成感をもった原酒を厳選し、それらをブレンドすることで商品化されます。

おすすめ動画

以下にベンロマック蒸溜所の紹介をしている、おすすめの動画を貼っておきます。
動画の内容は英語なのですが、ここまでの記事を読まれた方なら英語が苦手な方でも十分楽しめる内容になっていると思います。なかなか行くことが難しいベンロマック蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。

おすすめ動画1:Benromach Distillery Visit(YouTube)

また、英語アレルギーの方向けにほとんど映像のみのおすすめ動画も貼ってい置きます。

おすすめ動画2:Benromach distillery in Forres, Speyside(英語が苦手な人におすすめ!)

ベンロマック蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?

以下、紹介文・テイスティングノートなどはベンロマック蒸溜所のホームぺージより翻訳しています。

ベンロマック 10年

出典:amazon.co.jp

最高級のオーク樽でのみ熟成された、私たちの10年物のシングルモルトは、繊細な森の果実とクリーミーなモルト、ほんの少しの煙と豊かで持続的なシェリーの香りをもたらします。

テイスティングノート:

金色の琥珀
香り甘い青リンゴと洋ナシがクリーミーなダークハニーを引き立てます。 やわらかいバニラがやさしい煙とともに広がります。
モルトシリアルと煮込みフルーツの滑らかな香りが、温かいタフィーと微かなブラックチェリーと組み合わさっています。
余韻モルトシリアルとソフトスモークのフルボディフィニッシュ。

ベンロマック 15年

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最高品質のオーク樽でのみ熟成された、15年熟成のシングルモルトウイスキーは、粗挽きコショウ、焦げたオーク、リンゴ、ダークチョコレート、森の果実に、シェリーの香りとほんのりとした煙を添えます。

テイスティングノート:

暗い琥珀色
香り粗挽き黒コショウとピートスモークにつながる甘いタフィーの香り。 ダークチョコレートとドライバナナで豊かな森の果実が育ちます。
クリーミーで甘く、熟したリンゴと焦げたオークのアンダートーン。 ダークチョコレートが発達し、トーストしたモルトとオレンジの皮に微かな煙が出ます。
余韻ミディアムクリーミーなフィニッシュで、ソフトなスモークとドライフルーツ。

ベンロマック 21年

出典:amazon.co.jp

厳選された最高級のファーストフィルオーク樽で熟成された、21年物のシングルモルトは甘いシェリーの香りをお届けします。 微妙なスパイス、セビリアオレンジ、ラズベリーが続き、柔らかなスモーキーなフィニッシュが続きます。

テイスティングノート:

暗い琥珀色
香り柑橘系、生姜、オークの香りが漂う甘いシェリーのアロマと、ほんのりとしたスモーク。
最初は粗挽き黒胡椒と甘さ、セビリアオレンジとラズベリーのフレーバーが焼きりんごと絶妙なスパイスにつながります。
余韻焦げたオークとやわらかな煙。

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