・スコットランドで認可された最古の蒸溜所のうちの一つ。(2番目だと言われている)
・ノンピートのモルトを使用している。
・スピリットスチルの外側に水を流し冷却を行うことで、軽い成分を多くしている。
・年間生産量160万リットル。
フェッターケアン蒸溜所はどこにあるの?
フェッターケアン蒸溜所は、スコットランドのハイランド地方、アバディーンの南西にあるフェッターケアン村に建てられています。
蒸溜所の名前「Fettercairn(フェッターケアン)」はゲール語で「茂みの斜面」という意味です。また、フェッターケアンの年間平均気温は以下のグラフのとおりで、年間を通して気温差が少ないスコットランドらしい気候です。
フェッターケアン蒸溜所の歴史について教えて!
フェッターケーンは、スコットランドで最も古い認可された蒸留所の1つです。
1824年に、蒸留所のある土地の所有者であるAlexander Ramsay(アレクサンダーラムゼイ卿)によって設立されました。蒸留所はもともと「Nethermill(ネザーミル)」と名付けられ、蒸留所が操業を開始した工場の建物を改造したことにちなんで名付けられました。ラムゼイ卿は、1823年の関税消費税法に従って蒸留所を設立することを決定しました。これにより、ウイスキーの生産にかかる課税額が大幅に削減されました。
蒸留所の管理は、後に蒸留所の所有権を取得したJames Durie(ジェームズ・デュリー)の手に委ねられました。 それ以降フェッターケアンの運営責任は、デュリー家の世代から世代へと受け継がれました。
1887年、蒸留所で火災が発生し、設備の大部分が破壊されました。蒸留所は、完全な改修のために3年間閉鎖する必要がありました。
再開後しばらく運営は安定していましたが、1926年に蒸留所は閉鎖されました。それから1939年にAssociated Scottish DistillersLtdに買収されるまで活動していませんでした。新しい所有権の下で生産がすぐに再開され、フェッターケアンは少量生産の体制で数十年生産を続けました。
1960年代にウイスキーブームが訪れ、蒸留所はポットスチルの数を2つから4つに増築し、生産能力は現在のレベルにまで高まりました。 1970年代は、蒸留所にとって激動の10年であり、さまざまな企業合併の結果として何度も所有者を変え、最終的にはホワイトアンドマッカイの所有になりました。
製法の特徴は?
原料について
ウイスキーづくりには水がとても大切です。フェッターケアン蒸溜所はCairngorms(ケアンゴームズ)のふもとに位置しており、この山を通ってきた透き通った純粋な水を使用しています。また、この水は仕込み水としてだけではなく、ポットスチルの冷却にも使われています。
使用する大麦麦芽(モルト)は1960年までは独自のフロアモルティングを使用していましたが、現在は他の蒸溜所と同様コスト面・品質などの理由で専門の業者からの仕入れに変更しています。また、スモーキーな香りが特徴的な泥炭(ピート)は一切使用していない、ノンピートなモルトを仕入れています。
仕入れたモルトは糖化のために粉砕されます。粉砕された大麦はグリストと呼ばれ、次の糖化の工程へ移ります。
糖化について
グリストは糖化槽(マッシュ・タン)へ運ばれ、加熱された水と混ぜられます。温度の高い水と混ぜることで、糖分とデンプンを溶出させ、このとき大麦由来の酵素の力を使ってデンプンを糖に分解します。
加えられる水は一回目は大麦由来の酵素がもっとも活性しやすい約65℃程度に加熱されてから、グリストと混ぜられます。この時、中にある撹拌機がゆっくりと回ることで、糖分の溶出を促します。
糖分が溶け出た麦汁またはウォートと呼ばれる液を回収すると、次は1回目よりも高い温度の水と混ぜられ、できるだけ糖分を回収します。3回目はさらに高い温度のお湯と混ぜます。3回目に回収した麦汁は糖分が少ないので次の1回目の糖化の際に使用されます。
発酵について
麦汁は発酵槽(ウォッシュバック)に運ばれると、酵母を添加され発酵が開始します。
フェッターケアン蒸溜所ではオレゴンパインの木製の発酵槽(容量25600リットル)を11基使用しています。木製の発酵槽を使用することで、独自の乳酸菌や酵母が住み着き、それらが作り出す香味成分がその蒸溜所らしさを与えてくれると考えられています。
また、発酵時間は約56時間かけて行われ、最終的にウォッシュと呼ばれるアルコール度数約8%のビールに似た液体になります。
蒸溜について
フェッターケアン蒸溜所は2回蒸溜を採用しており、初溜用のウォッシュスチル(容量12800リットル)が2基と、再溜用のスピリットスチル(容量12800リットル)が2基の合計4基のポットスチルを使用しています。
フェッターケアンのスピリットスチルはヘッドの部分に外側から水を流して常に冷却しています。これにより、軽い成分だけが蒸気のまま上昇するようになります。これは、フェッターケアンの求めるウイスキーの香味には欠かせないものとなっています。また、この冷却方法のために、スピリットスチルのヘッドの部分は変色しています。
この冷却システムは1950年代に試行錯誤した際に取り付けられました。
2回目の蒸溜後に回収された蒸溜液はニューメイクまたはニューポットと呼ばれるアルコール度数約70%の液体になります。
樽詰めと熟成について
樽に詰められたニューメイクは熟成庫へと運ばれます。
フェッターケアン蒸溜所は、伝統的なダンネージ式の熟成庫を使用しており、床は土で石の壁の倉庫です。樽は最高でも3段までしか積まれません。また、地元の話によると、建設時にお守りとして石の壁のどこかにウイスキーのフルボトルを隠したそうです。
熟成に使用する樽は、最高級シェリー樽とアメリカンオークのバーボン樽を厳選して使用しています。
おすすめ動画
以下にフェッターケアン蒸溜所の紹介をしている、おすすめの動画を貼っておきます。
動画の内容は英語なのですが、ここまでの記事を読まれた方なら英語が苦手な方でも十分楽しめる内容になっていると思います。なかなか行くことが難しいフェッターケアン蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。
おすすめ動画:Fettercairn Distillery Visit(YouTube)
フェッターケアン蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?
以下、紹介文・テイスティングノートなどはフェッターケアンのホームぺージより翻訳しています。
フェッターケアン 12年
フェッターケアン12年はアメリカンホワイトオークの元バーボン樽で最低でも12年熟成されています。
テイスティングノート:
色 | 太陽光と琥珀色の蜂蜜 |
味 | バニラと洋ナシ、ソフトスパイス |
余韻 | さわやかなネクタリンとトロピカルフルーツ、焙煎コーヒー、クローブ、生姜。 サルタナと黒タフィー。 |
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