グレンファークラス蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!

スコッチ
出典:Whisky.com

グレンファークラス蒸溜所はどこにあるの?

グレンファークラス蒸溜所は、スコットランドの北東に位置するスペイサイド地方のダフタウンにあります。

『Glenfarclas(グレンファークラス)』はゲール語で『緑の草の生い茂る谷間』という意味だそうです。スペイサイド地方は大麦の生産地であり、燃料となる泥炭(ピート)も豊富であるため、ウイスキー造りに最適な土地です。

また、ダフタウンの年間平均気温は以下のグラフの通りで、年間を通して気温差が少ないとても穏やかな土地です。

データ元:NOAA

グレンファークラス蒸溜所の歴史について教えて!

グレンファークラス蒸溜所は1836年に創立されました。しかし、これは書類上の創立年で、1791年の絵画にすでに蒸溜所が書かれていることから、実際はもっと古くから稼働していたと考えられています。

1865年6月8日、ジョン・グラントが511ポンド19シリングで蒸溜所を購入しました。ここから現代に至るまでの、グラント家による運営が始まりました。

1880年、現在もなおそのまま姿で使われているダンネージ式の熟成庫が完成しました。

1950年代、四代目のジョージ・グラントがオーナーを務め始めた時代、ウイスキー業界が大成長をしており、グレンファークラスも1960年に蒸溜器を2基から4基に増設しました。さらに1976年には6基に増設しました。

五代目ジョンLSグラントは、1973年から2002年に5代目に就任するまでの間、4代目と共に蒸溜所を経営しました。ジョンはセールスマンとして、世界を飛び回り輸出先を広げたり、シェリー樽の安定した調達手段を確保しました。また、2007年には”ファミリーカスク”をリリースしました。

6代目ジョージSグラントは2年間香港の輸入代理店に勤務してから、2000年に経営に参加しました。それまでの経験を活かし、1年の半分は正解中を飛びまわり、輸出拡大を推し進めています。

製法の特徴は?

原料について

グレンファークラスは仕込み水に、スコットランド最高峰のベンリネス山から湧き出る水を使用しています。

また、麦芽の製造を1970年代以降は蒸溜所内では行っておらず、買い付けています。原料の大麦はスモーキーな香りを与える泥炭(ピート)を一切使用していない、ノンピートな大麦を使用しています。

粉砕について

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原料の大麦麦芽はまず、粉砕機によって粉末状にされます。このとき、細挽のフラワーが5%、中挽きのグリッツが80%、粗挽きのハスクが15%になるように挽かれます。これらすべてを合わせて、グリストと呼びます。

次は糖化の工程です。

糖化について

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マッシュタンの中の撹拌機出典:Whisky.com

グリストから、糖分を抽出するために糖化工程を行います。グレンファークラス蒸溜所ではスコッチウイスキー業界で最大の直系10メートル、容量17トンの糖化槽(マッシュタン)を使用しています。

まず、グリストはマッシュタンへ運ばれ、64℃に加熱されたベンリネス山から湧き出る水と混ぜられます。この時、中にある撹拌機がゆっくりと回ることで、糖分の溶出を促します。

糖分が溶け出た、麦汁またはウォートと呼ばれる液を回収すると、次は78℃と1回目よりも高い温度の水と混ぜられ、できるだけ糖分を回収します。3回目は80℃のお湯と混ぜます。3回目に回収した麦汁は糖分が少ないので次の1回目の糖化の際に使用されます。

このようにして、できるだけ麦芽から糖分を回収しています。最後に残った麦芽の絞りかす(ドラフ)は地元の牛の飼料として運ばれます。

発酵について

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グレンファークラス蒸溜所ではステンレス製で容量50000リットルの発酵槽(ウォッシュバック)を12基使用しています。

ウォッシュバックに運ばれた麦汁は、容量に対して1%の割合で酵母か添加され、発酵が開始します。発酵時間は約50時間で、発酵後の液をウォッシュと呼び、これはアルコール度数約8%の液体になります。

蒸溜について

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グレンファークラス蒸溜所は初留用のウォッシュスチル(容量29600リットル)が3基、再溜用のスピリットスチル(容量25000リットル)が3基の合計6基のポットスチルを使用しています。

発酵を終えたウォッシュはまず、ウォッシュスチルへ運ばれ、一回目の蒸溜が行われます。この時の蒸溜液はローワインと呼ばれる、アルコール度数約23%の無色透明な液体です。

ローワインはスピリットスチルへ運ばれ、2回目の蒸溜が行われます。この時、ミドルカットと呼ばれる蒸溜の最初と最後の部分をカットし、熟成に適した中間部分を回収するという操作が行われます。ここで、回収された蒸溜液はニュースピリッツまたはニューポットと呼ばれる、アルコール度数約68%の液体になります。

また、グレンファークラス蒸溜所は今では珍しいガスバーナーによる加熱により蒸溜を行うことにこだわっています。コストの低い間接加熱も試したのですが、この方法ではどうしてもグレンファークラスの求めるウイスキーが作れないという結論に達し、受け継いできた方法を今でも守り続けています。

樽詰めと熟成について

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蒸溜後のニュースピリッツは湧き水を使用して、63.5%になるように加水してから樽詰めされます。

グレンファークラス蒸溜所は、シェリー樽での熟成に強いこだわりがあり、100%シェリー樽で熟成を行っています。

シェリー樽は何度か使いまわすのですが、そのたびにシェリー由来の風味がつきにくくなります。10年熟成のものでは比較的何度か使いまわしたシェリー樽由来の原酒を多く使用し、若いフルーティーさを際立たせています。逆に、25年熟成などでは、一回目のシェリー樽由来の原酒を多く使用することで、濃厚なダークチョコなどの深みを出しています。

また、グレンファークラスは40を超える熟成庫を使用していますが、どの熟成庫もダンネージ式で最高3樽までしか積み上げられていません。さらに、グレンファークラス蒸溜所はベンネリス山からの風の影響もあり、年間の蒸散量(天使の分け前)が一般的には2~3%のところ、0.05%と非常にゆっくりと熟成が進んでいく珍し場所です。

おすすめ動画

以下にグレンファークラス蒸溜所の紹介をしている、おすすめの動画を貼っておきます。
動画の内容は英語なのですが、ここまでの記事を読まれた方なら英語が苦手な方でも十分楽しめる内容になっていると思います。なかなか行くことが難しいグレンファークラス蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。

おすすめ動画:Glenfarclas Distillery Visit(YouTube)

グレンファークラス蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?

以下、テイスティングコメントなどはグレンファークラスの輸入会社の紹介ページより引用しています。

グレンファークラス 10年

フルーティーで優しい味わい。シェリーのデリケートな甘さと、ドライフルーツのようなフレーバーが心地良く調和したウイスキー。優しい味わいで飲み口もスムーズなので、ウイスキーの入門としても最適です。

グレンファークラス 12年

12年シングルモルトの理想形。シェリー樽熟成の特徴がよく表れた、リッチでバランスのとれた味わい。グレンファークラスの味わいの世界を知るのに最適です。世界的ウイスキー評論家も絶賛する、ラインナップの中で最も人気がある1本。

グレンファークラス 15年

芳醇さを追求したこだわりの46度。15年熟成のハイランドモルトに最もふさわしい味わいを追求して、4代目当主が作り上げたこだわりの逸品。少し高めのアルコール度数にすることにより、シェリー樽熟成ならではの芳醇な甘みを、はっきりと感じることが出来ます。

グレンファークラス 17年

日本・北米限定商品。ふんわりと広がるシェリーの甘美な香り。アタックはソフトで、バランスの取れた滑らかな口当たり。とてもリッチなボディ。長期熟成による複雑で深い味わいの余韻へと続きます。

グレンファークラス 21年

精緻を極めた”エレガンス”。熟した果実のバスケット、繊細なオーク、濃厚だが主張しすぎないエレガントなシェリーの風味。全ての要素が高い次元で調和する、極めて精緻で贅沢な熟成モルト。優雅な時間を過ごしながら、じっくり向き合いたい1本です。

グレンファークラス 25年

スペイサイドモルトの1つの到達点。円みを帯びた芳醇な香り。とても滑らかなシルキーな口当たり。濃厚なダークチョコレートとビターな深煎り珈琲を合わせたような、濃厚で複雑な味わい。いつまでも続く長い余韻。リッチで重厚な味わいは食後酒に最適です。

グレンファークラス 105 カスクストレングス

“105”とは、英国式アルコール表示で60°を意味します。驚くほどパワフルな味わい、驚くほどスムーズな喉越し。グレンファークラスが持つ味わいの全ての要素が、この1本に凝縮されています。是非少量のお水を加えて下さい。濃厚なフルーツの風味が溢れ出してきます。

【日本限定】グレンファークラス 12年 カスクストレングス

グレンファークラス12年が持つ印象的な清涼感と、とてもパワフルなボディが特徴。オランジェットのような満足感のあるリッチなフレーバー。飲みごたえと長い余韻はカスクストレングスならでは。

【日本限定】グレンファークラス 21年 カスクストレングス

グレンファークラス21年の精緻な味わいを、より高い凝縮感で楽しめます。ドライフルーツのような濃厚な甘みと、カカオや焙煎珈琲のようなビターさとのバランスが絶妙。オロロソ・シェリー由来のエレガントで濃厚なコクが余韻まで続きます。

グレンファークラス 30年 レッド・ドア

カラー非常にリッチなダーク・ゴールド
アロマシェリーの風味が豊かなモルトと、フルーツが混然となった複雑な香り
フレーヴァーシェリー、コニャック、ブランデー、フルーツ、ナッツ、マジパン、糖衣。非常に濃厚なクリスマスプディングが、グラスの中で広がります。
フィニッシュずっと続く優雅で長い余韻。焦がしたチョコレートの味わいが後から追いかけてきます。

グレンファークラス 40年 レッド・ドア

カラー収穫を待つ麦のような黄金色
アロマフレッシュで力強く、挽きたてのジャワ珈琲を想わせる甘くフルーティーな香り
フレーヴァーダークチョコレート、レーズン、サルタナを伴った、力強いシェリーの風味。リッチで濃厚な上品な甘味。
フィニッシュいつまでも続く甘やかな長い余韻。

コメント

  1. […] […]

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