今回はお酒初心者でもわかりやすいように、ウイスキーの製法を解説しようと思います。
ウイスキーってそもそも何?
どうやって作っているの?
という人向けに解説しようと思います。
ウイスキーを知っていく入口になればいいなと思っています。
製法の流れ
ビール、日本酒、ワイン、ウイスキー、どんなお酒でもそうですが、お酒造りの基本は
糖分をアルコールに変える
ことです。
ビールなら大麦、日本酒なら米、ワインならブドウ、これらに含まれる糖分を発酵しやすいように水に溶かし、酵母の力を借りてアルコールに変換する。
これがお酒造りの基本です。
ウイスキーは大麦を原料にしているのですが、その製法を大きくわけると以下のような流れになります
発芽→乾燥→粉砕→糖化→発酵→蒸溜→熟成→ボトリング(完成)
順番にわかりやすく解説します!
発芽
発芽の工程の目的は「デンプンを糖に分解する」ことです。
先ほど、説明したようにお酒造りの基本は糖をアルコールに変えることなので、まずは糖を作らなくてはいけません。
ジャガイモやお米はそのまま食べたのでは甘くないですよね?これは、糖がデンプンという状態になっているからです。大麦も同じで、糖がデンプンの状態で蓄えられているので、発芽をさせることでデンプンを糖に分解します。
なぜ、発芽をすることでデンプンが糖に分解されるかというと、大麦自身も成長のためにはデンプンではなく糖を必要とします。そのため、発芽(成長)を促すと、糖分を作るように自身のデンプンを分解し始めるのです。
具体的な発芽の方法は簡単で、豆を発芽させるのと同じように、大麦を水に浸してしばらくすると芽を出し始めます。
乾燥
乾燥の工程の目的は「発芽を止め、糖の消費を止める」ことです。
大麦は自身の成長のために糖を作っているので、そのまま放っておくと糖を消費して成長を続けてしまいます。それでは糖をアルコールに変えることができなくなってしまうので、ある程度糖を作ったら、そこで成長を止める必要があります。そのために行うのが乾燥です。
具体的な方法は、石炭や泥炭(ピート)などの燃料を焚いて、その熱を使って乾燥させます。
ピートを使うとスモーキーな香りがつくので、このピートの使い方がウイスキーの最終的な味に影響を与えます。
粉砕
粉砕の工程の目的は「糖を溶けやすくする」ことです。
糖をアルコールに変えるために、まず糖を水に溶かさなくてはいけません。これは、糖をアルコールに変えてくれる酵母が、水に溶けた糖分しかアルコールに変えてくれないからです。
具体的な方法は、コーヒー豆を挽くのと同じ原理で、乾燥させた大麦をローラーミルという機械を使って粉砕します。
糖化
糖化の工程の目的は「糖を水に溶かすことと、残ったデンプンを糖に変える」ことです。
糖が溶けやすいように、60℃ぐらいのお湯と粉砕した大麦を混ぜて、糖を水に溶かします。このとき、発芽の過程で分解しきらなかったデンプンも水に溶かすことで、酵母由来の酵素が働いて糖に分解してくれます。それゆえ、デンプンを糖に変えるという意味でこの工程を「糖化」と呼んでいます。
英語ではこの工程は「Mashing(すりつぶす)」と表現するので、「saccharize(糖化)」よりか水に溶かすことに重きを置いているのかもしれません。
発酵
発酵の工程の目的は「糖をアルコールに変換する」ことです。
糖化の工程で、水に糖を溶かしたものを麦汁と呼ぶのですが、この麦汁に酵母を添加して、糖をアルコールに変えてもらいます。酵母は「発酵の母」から名前がきたように、”微生物”という考え方がないほど昔に、発酵を行っているものは何かという研究がされて、見つかったので酵母と名前がついています。
酵母はお酒造りには欠かせないもので、糖をアルコールに変えるのはもちろん、様々な香味成分を作るので、ウイスキーの味に大きく影響します。
ちなみに、ここまでの工程はビールを作る工程とほぼ同じで、次の「蒸溜」からビールとは違うウイスキー独自の工程です。
蒸溜
蒸溜の工程の目的は「アルコール濃度を上げる」ことです。
理科の授業で習ったことがある人もいると思いますが、蒸溜とは沸点の違いを利用して濃度を上げる方法です。発酵を終えると、上の写真のようなポットスチルと呼ばれる銅でできた大きな容器に移され、加熱をし、蒸溜を行います。
水よりもアルコールの方が沸点が低いので、蒸気を回収するとアルコール濃度が高い液体を得ることができます。スコットランドや日本では基本的に2回蒸溜を行い、アルコール濃度を約60%程度まで上げます。
こうすることで、何年間もの熟成に耐えられるというように保存効果が上がったり、様々なものが蒸溜の過程で取り除かれて、蒸溜酒特有のすっきり感が生まれます。
熟成
熟成の工程の目的は「ウイスキーを美味しくする」です。
具体的には、蒸溜液をオークという種類の木でできた樽に入れて、何年間もの長い間放っておくだけなのですが、これがウイスキーには欠かせないとても重要な工程です。
蒸溜したての液体は、すこし不快な香りがあります。その香りは熟成をすることでなくなっていきます。また、樽から色や様々な香りや味が移り、ウイスキーに複雑さを与えてくれます。この工程がウイスキーらしさをもたらす、長く重要な工程です。
つまり、熟成をすることで蒸溜液はどんどん美味しくなっていき、ウイスキーへとなっていくのです。
詳しい内容を知りたい人は以下の記事を参考にしてみてください。
ボトリング(完成)
樽の中で熟成したものをそれぞれ原酒と呼ぶのですが、原酒には樽ごとに個性があります。それをブレンダーという人達が、目的の製品の味と香りになるようにブレンドしていきます。
例えるなら、目的の味が紫色のウイスキーの場合、赤の原酒と青色の原酒をまぜて紫にしていくようなイメージです。
ブレンドされたものはボトルに詰められて、出荷されます。
これで、ウイスキーは完成です!
終わりに
いかがでしたでしょうか、なるべく難し表現は使わずにウイスキーの製法を解説してみました。
これで興味を持った方は、ぜひ色々と調べてみて下さい!
当メディアでは科学的な視点でこれらの製法を詳しく解説している記事が多数あるので、興味のある方は読んでみて下さい。
それではまた、お会いしましょう!
コメント
[…] […]
[…] […]
[…] […]