アルコール(エタノール)と味覚の関係

ウイスキーの科学

味覚には、生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つがあると言われています。基本的にアルコールの味は5つのうちどれにも分類されないように思いますが、実はアルコールは味覚にかなりの影響を与えています。

今回はアルコールがどのように味覚に影響するのかを報告した以下の論文をわかりやすく解説します。

「アルコールと味覚」日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室 冨田寛,石井泰平,青柳充雄

ポイント

・アルコール自体が苦味・甘味・塩味また刺激を感じさせる。
・アルコールは味を感じにくくさせる。
・度数の強いお酒は味蕾*に障害を与えてしまう。*味蕾:味を感じる舌の器官

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アルコール自体が苦味・甘味・塩味また刺激を感じさせる

純粋なアルコールを様々な濃度に薄めて、味を確かめるという実験の結果、アルコール度数2.8%で苦味があり、約5%になると灼熱感(ピリピリとした刺激)があったと報告しています。

また、別の13例の実験のうち13例すべてが苦味を、7例は甘味を、3例が塩味を報告したそうです。

この結果からアルコール自体にも味がある事がわかります。また、度数が高くなると痛みやピリピリとした刺激を感じますが、これはアルコールが舌の表面を貫き、中心の方にある触感などを感じる神経を刺激してしまうためだと考えられます。

辛みもある種の痛みですので辛党がいるように、アルコールのピリピリ感も一種の味ととらえて好きになる人もいそうですね。

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アルコールは味を感じにくくさせる

次に、アルコールは他の味覚を刺激する物質(味覚溶液)を感じにくくさせる効果が報告されています。

これは、単純に味蕾(味を感じる舌の器官)に直接作用するパターンと、酔っぱらって感覚を鈍くさせるパターンがあると報告しています。

味蕾に直接作用する

各味覚を刺激する物質として、食塩(塩味)、酢酸(酸味)、キニーネ(苦味)、ショ糖(甘味)、を用意してアルコールと様々な濃度で混ぜ合わせて、味覚にどのように影響するかを調べました。

実験にはネコをつかっており、舌の電気信号を読み取ることで刺激を感じているかどうかを判断しています。

実験の結果、食塩や酸はわずかに感じにくくなり、苦味に関しては大きく感じにくくさせました。面白いのは、甘味に関しては感じやすくなるという結果になりました。

これらの結果はネコを使って実験されているため、人間にも同様効果があるかは注意しなくてはいけないのですが、この結果によりアルコールは味蕾に直接作用することがわかりました。

酔っぱらって、味覚が鈍くなる

次に人に協力してもらい、ウイスキーを1時間から1時間半かけて飲んでもらい、飲酒前と後で味覚に対する感度の違いを調べました。

この結果、甘味、酸味、塩味、苦味すべてにおいて味覚能力が低下しました。さらに、もともと味覚能力が高かった人の方がこの影響が大きかったのです。

この結果は、お酒を飲むと味の濃いものが食べたくなるという日常的な感覚を裏付けるものになります。

このように、アルコールは飲んだ時、酔っぱらったとき、どちらにも味覚能力を低下させる効果がある事がわかりました。お酒と料理を合わせる(ペアリング)のが好きな人、お店などでペアリングにこだわる人は、実際にお酒を飲みながら料理を試食するのが良さそうです。

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度数の強いお酒は味蕾に障害を与えてしまう

最後にとてもショックな結果ですが、ウイスキーをストレートで常用していた人が味覚障害を引き起こしたと報告しています。

高濃度のアルコールに殺菌効果があるように、度数の高いお酒をストレートで飲むと、我々の舌にも障害を与えてしまうようです。

患者はウイスキーの摂取を辞めたところ、症状は軽快したそうですが、また飲み始めると症状が元に戻ってしまったそうです。

また、強いお酒をストレートで飲むと食道がんになりやすいというデータもあるので、ウイスキーなどの度数の高いお酒を飲むときは、水をこまめに飲むなどして、アルコールの刺激を緩和する工夫をした方が良さそうですね。

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おわりに

以上、アルコールが味覚に与える影響を紹介しました。

お酒そのものが好きな人、料理と合わせるのが好きな人、健康を気にしている人、様々な人に関係する内容だったのではないでしょうか。

より楽しく、健康にお酒を飲みましょう!
それでは、またお会いしましょう。

乾杯!

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