今回は、お酒が健康に与える影響を紹介します。
酒は百薬の長などと言われますが、「科学的に本当なのか?」と気になったので、調べました!
先に結論から言うと、お酒は健康に悪いです(笑)
「そんなん知ってるわ!」「黙っとけ!」という声が聞こえてきそうですが、
「どれくらい悪いのか」「どのように悪いのか」を知って、お酒が自分に与えてくれる「心の健康度」とを考えて、自分にとって適切な量を決め「楽しく健康にお酒を楽しんでもらいたい」と思い、記事にしました。
百薬の長はウソ!
そもそも、なぜお酒が「百薬の長」と言われるようになったのか、
厚生労働省が以下のようなデータを紹介しています。
欧米人を対象とした研究を集積して検討した結果では、男性については1日当たり純アルコール10~19gで、女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低く、1日当たりアルコール量が増加するに従い死亡率が上昇することが示されている
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
これらのデータによると、純アルコール量約20gまでなら飲酒をした方が、飲酒をしない人たちに比べ死亡率が低くなっています。
(純アルコール量については後で説明します)
「やっぱり、少量のお酒なら健康にいいんだ!」と思いたいところなんですが、実はこれらのデータは1996年に行われた研究結果をもとにしており、2016年に発表された以下の論文で「少量の飲酒による健康効果」は否定されています。
この論文では、過去87件の研究をもとに合計3,998,626人のデータを解析しなおしています。過去のデータでは、「非飲酒者」に分類される人たちには以下のような人が偏る危険性がありました。
・過去に飲酒していたが病気でやめた人(アンケート方法によっては禁酒者と混合しやすい)
・もともと体が弱く飲酒しない人
・持病があり飲酒できない人
・時折お酒を飲む人(アンケートの方法によっては混合されてしまう)
これらの人たちは潜在的に死亡するリスクが高いため、先ほどの「少量の飲酒が健康にいい」というのは、本当は「非飲酒者のグループは病気の人が多く、もともと他のグループに比べ死亡率が高かった」という見方が正しかったのです。
これらのことを考慮して、データを解析しなおしたところ、少量の飲酒による死亡率の低下は見られなくなりました。
具体的には死亡リスクをRR値というもので計算しており、1より高いと死亡率が上昇、1より低いと死亡率の低下を表します。前のデータでは、少量の飲酒はRR=0.83~0.90と死亡率の低下を示していたのが、解析方法を改善するとRR=0.88~1.07となり、非飲酒者との有意差が無くなりました。
ここで朗報なのが、一日あたりの純アルコール量24.9g以下の少量の飲酒者は健康にはならないが、死亡率の上昇も見られないことです!
ちなみに、一日あたりの純アルコール量の摂取別に死亡率をみると
1.3g未満 | RR=0.85~1.05 |
1.3~25g | RR=0.88~1.07 |
25~45g | RR=0.97~1.18 |
45~65g | RR=1.12~1.37 |
65g以上 | RR=1.30~1.60 |
という結果になりました。
どうでしょうか、1.3g未満と1.3~25gがほとんど差がないことから、一日あたり25gまでなら体に大きく害が及ぶことはなさそうですね。
ただ、これはあくまで何百万人という人のデータを平均したものなので、体質的にお酒に弱い人は25gでも体に大きな害を及ぼす可能性は十分にあるので気つけてください。
次に、純アルコール量の計算方法を紹介します。
純アルコール量の計算
純アルコール量とは、お酒に含まれる純粋なアルコールの量のことです。度数50%のお酒なら100mlのうち50mlが純粋なアルコールになります。これをg表記に直すために、エタノールの比重0.8g/mlを掛けて、40gになります。
これを式で表すと
純アルコール量=お酒の量(ml)×お酒の度数(小数点表記)×0.8
で求められます。小数点表記とは、5%なら0.05、16%なら0.16というように100%を1として表記しなおした値です。
次にアルコール量25gはどれくらいなのか早見表を示します。
ビール(度数5%) | 625ml |
ワイン(度数12%) | 260ml |
日本酒(度数15%) | 208ml |
ウイスキー(度数43%) | 72.7ml |
終わりに
一日あたり、ショット(30ml)二杯は少し物足りない気もしますが、一日にこれだけしか飲まない!と決めると、より大事に味わうようになるというメリットもあるかもしれません。
これらの、データはあくまで参考にして頂いて、ご自分の健康、お酒によって得られる幸福度、などを考慮して飲酒量を決めていただけたら嬉しいです。
健康な体あっての美味い酒、美味い飯だと思いますので、皆さんの健康を祈っています!
それでは、またお会いしましょう!
乾杯!
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