ウイスキー造りの99%の時間は熟成に使われます。それゆえ、熟成環境によってウイスキーの味や香りに大きな影響があるため、どのような熟成庫を使用するかはとても重要な問題です。
この記事では、主にウイスキーの熟成に使用される熟成庫、ダンネージ式、ラック式、パレット式の違い、長所や短所を解説します。
ダンネージ式熟成庫とは
ダンネージ式熟成庫は、スコットランドで古くから使用されている伝統的な熟成庫です。土の床に石の壁でできた一階建ての建物に、樽が最高でも3段までしか積まれません。
自然の力で、湿度・温度を調整しており、年間の温度変化が少ないスコットランドでは倉庫内は年間を通してほぼ一定に保たれており、樽はゆっくりと熟成していくと考えられています。そのため、長期熟成が可能です。
ラック式熟成庫とは
ラック式熟成庫はアメリカなどで多く使用されている熟成庫で、一般的には、7階建ての建物にそれぞれ、3段程度ずつ樽が積まれています。
ダンネージ式熟成庫とは違い、高さが高いのが特徴で、特に年間の気温差が大きいアメリカでは倉庫の1段目と最高段では温度と湿度が大きく異なるため、倉庫内の樽の位置で熟成の早さが異なるのが特徴です。
目的のウイスキーに応じて、あえて位置を決めたり、均一に熟成させるために年間数回程度、倉庫内の樽の位置を交換したりします。
パレット式熟成庫
パレット式熟成庫とは、その名の通り樽がパレットの上に立てて積まれている熟成庫のことです。
樽を密接に置けるため、効率的にスペースを使えること、フォークリフトを使っていっぺんに樽を運べることなど、生産コスト面での利点が大きいです。
しかし、樽どうしが密接なため空気の流れが悪く熟成に影響を与えること、立てて樽を保存するため液漏れののリスクが上がるなどのデメリットもあります。
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