・トミントールはスコットランドで最も標高の高い村にある。
・ホワイト&マッカイのキーモルト。
・トミントールのヘビーピートウイスキー、「バランテュラン」はフェノール値55ppmのモルトを使用している。
・年間生産量330万リットルとかなりの大規模。
トミントール蒸溜所はどこにあるの?
トミントール蒸溜所は、スコットランドの北東に位置するスペイサイド地方のバリンダロッホにあります。スペイサイド地方は大麦の生産地であり、燃料となる泥炭(ピート)も豊富であるため、ウイスキー造りに最適な土地です。
『Tomintoul(トミントール)』はスコットランドで最も標高の高い場所にある村の名前で、ゲール語で『納屋の形をした丘』という意味だそうです。この地域は非常に高いため、冬の雪は春の終わりまで続くことがよくあります。ただし、ケアンゴーム山脈が雨の多くを遮るため、スコットランドで最も乾燥した地域の1つです。
また、バリンダロッホの年間平均気温は以下のグラフの通りで、年間を通して気温差が少ないとても穏やかな土地です。
トミントール蒸溜所の歴史について教えて!
トミントール蒸溜所はグラスゴーのウイスキー小売業者によって1965年7月に設立しました。場所を決めるのに最も重要な純粋な湧き水源、Ballantruanの泉を探すのに1年かかりました。これにより、絵のように美しい田園地帯にひっそりと佇む蒸留所の場所が決まりました。
同社は蒸溜所を10年未満しか運営せず、1973年にScottish&Universal Investment Trustに売却しました。
トミントール蒸溜所は1985年に有限会社として設立されましたが、2000年に独立したボトラーのアンガスダンディーに売却されました。
同社はグレンカダム蒸溜所も所有しており、今日までトミントール蒸溜所を運営し続けています。
製法の特徴は?
原料について
トミントール蒸溜所では大麦麦芽(モルト)100%でウイスキーを生産しています。モルトはピートの効ていないノンピーテッドモルトを主に使用していますが、年に2度だけピーテッドモルトを使用しています。
また、仕込み水には近くの「Ballantruan(バランテュラン)」から採水しており、この湖の名前をそのままとったヘビーピートのウイスキーも生産しています。
粉砕機について
モルトに含まれる糖を回収するために、モルトを粉砕します。
トミントール蒸溜所では1965年に生産されたローラー式の粉砕機を使用しています。
粉砕された大麦はグリストと呼ばれ、次の糖化の工程へ移ります。
糖化について
グリストは糖化槽(マッシュ・タン)へ運ばれ、加熱された水と混ぜられます。温度の高い水と混ぜることで、糖分とデンプンを溶出させ、このとき大麦由来の酵素の力を使ってデンプンを糖に分解します。
トミントール蒸溜所のマッシュタンは容量が11.6トンあり、週に15回のマッシングを行っており、フル稼働しています。
一般的に、加えられる水は一回目は大麦由来の酵素がもっとも活性しやすい約65℃程度に加熱されてから、グリストと混ぜられます。この時、中にある撹拌機がゆっくりと回ることで、糖分の溶出を促します。
糖分が溶け出た、麦汁またはウォートと呼ばれる液を回収すると、次は約78℃と1回目よりも高い温度の水と混ぜられ、できるだけ糖分を回収します。3回目はさらに温度を上げます。3回目に回収した麦汁は糖分が少ないので次の1回目の糖化の際に使用されます。
発酵について
麦汁は発酵槽(ウォッシュバック)に運ばれると、酵母を添加され発酵が開始します。
トミントール蒸溜所ではステンレス製の発酵槽を6基使用しています。発酵時間は約54時間で、この間に酵母は糖からアルコールを生産するとともに、フルーティな香りのするエステルなどの香味成分を生産します。
発酵を終えると最終的にウォッシュと呼ばれるアルコール度数約8%のビールに似た液体になります。
蒸溜について
トミントール蒸溜所は2回蒸溜を採用しており、初溜用のウォッシュスチル(容量22048リットル)が2基と、再溜用のスピリットスチル(容量19661リットル)が2基の合計4基のポットスチルを使用しています。
トミントール蒸溜所のポットスチルは高さがかなり高く設計されており、これによりトミントールらしい軽く華やかな原酒が生まれます。
ウォッシュはまずウォッシュバックに移され、最初の蒸溜が行われます。これによって得られる蒸溜液はローワインと呼ばれるアルコール度数約21%の無色透明な液体になります。
次にローワインはスピリットスチルへ運ばれ、2度目の蒸溜が行われます。この時回収される蒸溜液はミドルカットとよばれる方法で回収されます。蒸溜の最初の部分と最後の部分はカットされ、その間のハートと呼ばれる熟成に適した中間部分のみが回収されます。
再溜後に回収された蒸溜液はニューメイクまたはニューポットと呼ばれるアルコール度数約69%の液体になります。
樽詰めと熟成について
ニューメイクは樽へ詰められると、熟成庫へと運ばれます。トミントールは主にアメリカンホワイトオークの元バーボン樽を使用してウイスキーを熟成させます。少量ですが、オロロソシェリーとポートワイン樽も使用されます。
また、トミントール蒸溜所には6つの熟成庫があり、最大116,000個の樽を収容できます。
おすすめ動画
以下にトミントール蒸溜所の紹介をしている、おすすめの動画を貼っておきます。
動画の内容は英語なのですが、ここまでの記事を読まれた方なら英語が苦手な方でも十分楽しめる内容になっていると思います。なかなか行くことが難しいトミントール蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。
おすすめ動画:Tomintoul Distillery Visit(YouTube)
トミントール蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?
以下、紹介文・テイスティングノートなどはトミントール蒸溜所のホームぺージより翻訳しています。
トミントール 10年
トミントール10年は最低でも10年間熟成された最高級のバーボン樽から厳選され、愛情を込めて作られています。
テイスティングノート:
色 | ゴールド |
香り | 繊細でフローラル、アカシアハニー、バニラ、全粒粉トースト、熟した木のスパイス |
味 | カスタードプディングとトーストしたアーモンドの層で甘くて研ぎ澄まされ、レモンの皮と艶のあるフレッシュさを強調している |
余韻 | バターオーク、柑橘類の皮がまろやかなケーキのスパイスの余韻に変わっていく |
トミントール 12年 オロロソ
トミントール12年オロロソカスクフィニッシュは最低でも12年間熟成された最高級のオロロソシェリー樽から厳選され、愛情を込めて作られています。
テイスティングノート:
色 | 暖かな金色 |
香り | 糖蜜のトフィー、トーストしたピーカンナッツ、甘いレーズン、柔らかでスモーキーなハイライトのアロマ |
味 | モカ、ブラジルナッツのトフィー、フルーツケーキ、砂糖漬けの皮、ブランデーバター、クリーミー |
余韻 | チョコレートエクレア、クリームカラメル、微かにクローブ香り、長くてシルキー |
トミントール 14年
トミントール14年は最低でも14年間熟成されたまろやかで滑らかなウイスキーです。
テイスティングノート:
色 | 麦の金色 |
香り | 甘くて魅力的なアーモンド、粉砂糖、果樹園のフルーツ、クレームブリュレのアロマと微かにレモンカード |
味 | マダガスカンバニラポッドとトーストしたアーモンドにシナモンデニッシュ、オートビスケット、シトラスオイル |
余韻 | ローストヘーゼルナッツ、モカ、若草のハイライト、温かいトースト |
トミントール 16年
バニラアイスクリームをトッピングしたリンゴと洋ナシのフルーティーな調和。繊細で甘い大麦の皮が舌を覆い、柔らかく、すべてが穏やかです。 モルトとオークバニラの素晴らしい相互作用が非常に洗練されています。
テイスティングノート:
色 | 琥珀色の金 |
香り | クリーミーで甘いヘザーハニー、ソフトヌガー、バニラファッジ、トーストしたブリオッシュとレモンの皮のハイライト |
味 | クリームブリュレ、ボイルドスイーツ、モカとアモレッティビスケット、ナッツのような丸み |
余韻 | バタークッキー、シナモンのアイシング、トフィの余韻。まろやかで温かい。 |
トミントール ピーティー タン
トミントール ピーティー タンはピートの効いた大麦麦芽を使用し、スモーキーな味わいに仕上げました。スペイサイドでピートを使用している蒸溜所は珍しいです。
テイスティングノート:
香り | キャンプファイヤースモーク、ジンジャービスケット、コーヒーグラウンド、燻製肉、甘くてすすけた香り。 |
味 | ヘーゼルナッツ、スモーキーベーコン、糖蜜のトフィーに、トーストしたオーツ麦、ピートスモーク、甘いリコリスとレモンの皮のハイライト。 |
余韻 | コーヒーケーキ、ローストピーカンナッツ、クローブスパイス、ナッツとスモーキーな余韻 |
トミントール トラス
「Tlàth(トラス)」はゲール語で穏やかでまろやかという意味です。トミントール トラスは個々の樽を非常に注意深く厳選し、最高級のアメリカンオークバーボン樽で熟成された、様々な年代のウイスキーで構成されています。
テイスティングノート:
香り | バタークッキー、フレークアーモンド、ハニー、バニラポッドのアロマ、柔らかく甘い |
味 | バター菓子、リンゴの煮込み、アーモンドのクッキー、シナモンパウダー、クリーミーでナッツのような味わい |
余韻 | ローストヘーゼルナッツ、ココアケーキ、オートビスケット、やさしいスパイスの余韻 |
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