ダイエット情報などのお酒の項目で「ウイスキーなどの蒸留酒は糖質が0」という説明を見かけますが、実はウイスキーには糖質が含まれています!
この記事では、ウイスキーにはどのくらいの糖質が含まれているのか、そしてなぜ含まれているのかについて解説します。
ウイスキーに含まれる糖質の量
次のウイスキーに含まれる糖質を調べた表をご覧ください。
樽の種類 | 熟成年数 | 色の濃さ* | 糖質の量[mg/L] |
---|---|---|---|
アメリカンオーク#1 | 6年 | 7 | 500 |
アメリカンオーク#2 | 5年 | 15 | 915 |
アメリカンオーク#3 | 5年 | 8 | 770 |
アメリカンオーク#4 | 8年 | 17 | 630 |
アメリカンオーク#5 | 5年 | 9 | 655 |
アメリカンオーク#6 | 5年 | 12 | 630 |
スパニッシュオーク#1 | 6年 | 30 | 2250 |
スパニッシュオーク#2 | 5年 | 46 | 1985 |
スパニッシュオーク#3 | 8年 | 51 | 1640 |
スパニッシュオーク#4 | 8年 | 52 | 2230 |
スパニッシュオーク#5 | 5年 | 46 | 1220 |
スパニッシュオーク#6 | 5年 | 32 | 855 |
ウイスキーには糖質が含まれており、その量はアメリカンオークよりもスパニッシュオークを使用したときの方が多いということがわかります。
「ウイスキーは蒸留酒だから糖質は0」というのは間違いです!
ただ、炊いたお米100gに含まれる糖質が約36.8g(データ元はこちら)なので、一番糖質が多かったスパニッシュオーク#1のショット1杯(30ml)に含まれる糖質はお米0.183g分しかないので、ダイエット中に気にしなくてはいけないほどの糖質は含まれていないと言えます。
また、このデータを見る限り、熟成年数と糖質の量はあまり関係がなく、色の濃さの値が大きいほど糖質が多く含まれている傾向にありそうです。なるべく糖質を抑えたい方は、色の薄いウイスキーを選ぶと糖質が少ない可能性が高そうです。
次に、なぜ蒸留酒なのにウイスキーには糖質が含まれるのか、その理由を解説します!
なぜウイスキーに糖質が含まれるのか
ウイスキーに糖質が含まれる理由は大きく次の3つがあります。
・樽の木材からくる糖質
・前に樽に詰められていたお酒(ワインやシェリー)からくる糖質
・カラメル色素に含まれる糖質
順番に解説します。
樽の木材からくる糖質
ウイスキーは何年間もの長い間オーク樽で熟成させます。オークは植物ですので細胞壁や繊維を構成するセルロースという多糖の塊が大量に含まれています。通常人間はセルロースを分解できないため、セルロースを食べても糖質として吸収はせず、食物繊維として排泄されますが、ウイスキーのような高濃度のエタノールにさらされると、セルロースはゆっくりと分解していき小さな糖になります。そのため、樽で長時間熟成させるウイスキーには他の蒸留酒と違い、糖質が含まれるのです。
前に樽に詰められていたお酒(ワインやシェリー)からくる糖質
ウイスキーの熟成には、ワイン樽やシェリー樽など、もともと違うお酒を詰めていた樽を再利用することが多いです。ワインやシェリーは醸造酒ですので当然多くの糖質が含まれています。これらのお酒が何年間という長い時間樽に詰められることで、樽にもその成分が多量に染み込みます。
そのような樽を使用してウイスキーを熟成させると、樽に染み込んでいたワインやシェリーの糖質がウイスキーに溶け込むため、ウイスキーには糖質が含まれます。また、シェリーにも様々な種類があり、ペドロヒメネスなどの超甘口のシェリーを詰めていた樽を使用するとより多くの糖質がウイスキーに含まれると考えられます。
カラメル色素に含まれる糖質
スコットランドや日本では商品の見た目を均一にするという目的でカラメル色素の使用が認められています。主に使用されるカラメル色素はE150aというもので、水(30-50%)、糖質(50-70%)、灰(0-4%)で構成されています。そのため、カラメル色素を使用したウイスキーにはその分、糖質が含まれることになります。ウイスキーに加えられるカラメル色素の量は平均0.3g/L程度です。
ただし、カラメル色素を使わないウイスキーも数多くあります。カラメル色素が使われているかは、ウイスキーのラベルで判断できます。ラベルに「Non-coloring」や「Natural Color」などと表記されていればカラメル色素を使用していないという意味です。
ウイスキーの色についてもっと知りたい方は以下の記事を参考にしてみて下さい。
おわりに
いかがでしたでしょうか、蒸留酒は通常糖質を含まないため、ウイスキーも糖質がゼロだと勘違いされやすいのですが、ウイスキーならではの熟成の工程によってウイスキーは蒸留酒ながらも糖質を少量含む珍しいお酒になります。
ただ、ダイエットなどに大きく影響するほど多く糖質が含まれているわけではないので安心してください。
また、ウイスキーを飲んだ時に感じる甘味は糖質由来の甘味よりも、バニリンやエステルといった香り成分による感覚が大きいため、甘いウイスキーは糖質が多いというわけでもないので、あまり糖質は気にせずウイスキーを楽しんでいただけたらと思います!
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