ウイスキーの魅力のひとつはその美しい「琥珀色」にあります。
よくウイスキーを見ると、とても濃い琥珀色のウイスキーもあれば、黄金色のような薄い色のウイスキーまで様々な濃さのウイスキーがある事がわかります。
よく「色が濃いほど熟成年数が長い」と思われがちですが、必ずしもそういうわけではありません!
この記事では、なぜウイスキーは琥珀色なのか、そして色の濃さは何によって左右されるのかについて紹介します。
なぜウイスキーは琥珀色なのか?
ウイスキーは最初から琥珀色なのではなく、無色透明な蒸留酒を樽の中で熟成させることで、樽の色素が溶け出て琥珀色になります。つまり、あの琥珀色は木材の色です。
焼酎やウォッカなどの蒸留酒と同様に、ウイスキーも蒸留してすぐのニューメイクと呼ばれる段階では無色透明です。このニューメイクを、スコットランドの法律では最低でも3年間、樽の中で熟成させなくてはウイスキーと名乗れません。
イチゴなどをお酒に漬けるとイチゴの色がお酒に移るのと同じように、この熟成中に樽の色がニューメイクに移っていき、3年以上経過してウイスキーと呼ばれる頃にはあの美しい琥珀色になっているのです。
ウイスキーの色の濃さの違い
次に、なぜ色の濃さが違ってくるのか解説します。
基本的にウイスキーの色の違いは以下の3つの理由で変化します。
1,熟成期間の違い
2,熟成に使う樽の違い
3,着色剤による違い
順番に説明します
1,熟成期間の違い
熟成期間が長ければ色が濃くなるというのは、感覚的にわかる人も多いのではないでしょうか。ウイスキーの琥珀色は基本的に、木の成分の色です。
樽に入れられたお酒と木が触れ合うことで、木の成分が溶けだし色がついていきます。そのため長い時間熟成されているほど、より木の成分が溶けだしてくるため色が濃くなっていきます。
2,熟成に使う樽の違い
ウイスキーの熟成には新品の樽や、一度使われたバーボン樽、シェリー樽、ワイン樽など様々な樽を使用します。これらの熟成に使う樽によって色の付き方が大きく変わってきます。
バーボンの熟成には内側を焦がした新品の樽を使用するのですが、内側を焦がすことで木の成分が溶け出しやすくなるので、色が濃くなりやすいです。また、スコッチなどは一度バーボンに使われた樽を再利用しているため、お茶の二番煎じのように、色が付きにくくなります。
他にも、シェリー樽を使用すると使われていたシェリーの色素が溶けだし赤みがかった濃い色がつきやすかったり、ワイン樽を使用すると明るい赤色がつきやすかったりします。
例えば、上の写真はグレンドロナック12年とグレンスコシア25年で、熟成年数が倍以上グレンスコシアの方が長いですが、グレンドロナックの方が色が濃いことがわかると思います。
グレンドロナックはシェリー樽を主に使っているため、熟成年数が比較的若くても非常に濃い色が付きます、逆にグレンスコシアは主に一度バーボンに使われた樽を再利用しているので熟成年数のわりに、あまり色はつきません。
他にも樽の大きさが色に関係しており、一般的な樽の4分の1のサイズであるクォーターカスクを熟成に使用すると、お酒の量に対して樽と接する面積の割合が大きくなるので、色が付きやすくなり、逆にサイズの大きいパンチョンという樽を使うと、お酒と樽が接する面積の割合が小さくなるので、色が付きにくくなったりします。
このように、何の樽を使うかによって色の濃さが大きく変わるため、一概に色で熟成年数を判断することはできないのです。
3,着色剤による違い
次の写真はそれぞれ何年熟成だと思いますか?
実はすべて全く樽熟成を行っていない、熟成年数0年です。無色のアルコールにスピリットカラメル(E150a)という着色剤を混ぜただけなんです。
この着色剤はスコットランドでも使用することが認められているもので、主に商品の色を一定に保つために使われています。
日本でも、法律的に着色剤を使うことが認められているため、ウイスキーの色から熟成年数を判断するのがとても難しくなります。
着色剤を使用しているかどうかは、ウイスキーに「着色剤なし(Non-colored)」などという表記があるかどうかで判断できるので、確認してみてください!
終わりに
いかがでしたでしょうか、ウイスキーはその色も含めて魅力的なお酒ですが、その色のつきかたにも様々あることがわかっていただけたと思います。
どうして、この色なんだろう?と思いながら飲んでみるのも面白いですよ!
この記事が何かのお役に立てれば幸いです。
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