・ほとんどがブレンデッド用に使われるため、シングルモルトとして販売されるものは少量。
・ジョニーウォーカーやホワイトホースなどのディアジオ社のブレンデッド以外にも多数のブレンダーに原酒を販売している。
・年間生産量350万リットルとかなりの大規模。
リンクウッド蒸溜所はどこにあるの?
リンクウッド蒸溜所は、スコットランドの北東に位置するスペイサイド地方のエルギン町にあります。スペイサイド地方は大麦の生産地であり、燃料となる泥炭(ピート)も豊富であるため、ウイスキー造りに最適な土地です。
また、エルギンの年間平均気温は以下のグラフの通りで、年間を通して気温差が少ないとても穏やかな土地です。
リンクウッド蒸溜所の歴史について教えて!
1821年、Peter Brown(ピーター・ブラウン)が蒸溜所を建設しました。しかし、生産は1824年に正式に開始され、当時はウォッシュスチルが一基とスピリットスチルが一基の合計2基のポットスチルしかありませんでした。
1869年、創設のピーターが亡くなり、息子であるウィリアム・ブラウンに経営権が移りました。ウィリアムは1872年に古い建物を壊し、新しくより大きな蒸溜所を隣に建てなおしました。
1932年には大手酒造メーカーDCLの傘下となり、以降定期的に増築、改築を行いました。1972年には古い建物の向かいに新しい蒸溜所を建設し、古い建物は1985年に生産を停止しました。
2012年には、さらに増築され6つの発酵槽(ウォッシュ・バック)と2つのポットスチルが追加され、現在の体制になりました。
製法の特徴は?
原料について
原料はスコットランド産の大麦を使用しています。もともとは独自のモルティング室を使用していましたが、現在ではスペイサイドにあるディアジオ社のモルトスターから仕入れています。
スモーキーな香りが特徴のピートモルトと、泥炭(ピート)を使用していないノンピートのモルトを使い分けています。
また、仕込み水には蒸留所の横を流れるミルブルズスプリングから水を汲み上げています。
粉砕機について
仕入れたモルトは糖分を回収しやすいように粉砕されます。
リンクウッド蒸溜所はローラー式の粉砕機を使用しています。
粉砕された大麦はグリストと呼ばれ、次の糖化の工程へ移ります。
糖化について
グリストは糖化槽(マッシュ・タン)へ運ばれ、加熱された水と混ぜられます。温度の高い水と混ぜることで、糖分とデンプンを溶出させ、このとき大麦由来の酵素の力を使ってデンプンを糖に分解します。
一般的に、加えられる水は一回目は大麦由来の酵素がもっとも活性しやすい約65℃程度に加熱されてから、グリストと混ぜられます。この時、中にある撹拌機がゆっくりと回ることで、糖分の溶出を促します。
糖分が溶け出た麦汁またはウォートと呼ばれる液を回収すると、次は約70℃と1回目よりも高い温度の水と混ぜられ、できるだけ糖分を回収します。3回目は約80℃のお湯と混ぜます。3回目に回収した麦汁は糖分が少ないので次の1回目の糖化の際に使用されます。
発酵について
リンクウッド蒸溜所では木製の発酵槽(容量30000リットル)を6基と、容量60000リットルの発酵槽を5基使用しています。
麦汁は発酵槽(ウォッシュバック)に運ばれると、酵母を添加され発酵が開始します。発酵の過程で酵母は、糖分をアルコールと二酸化炭素に分解すると伴に、フルーティな香りであるエステルなどの様々な香味成分を生成します。
発酵が終了すると、最終的にウォッシュと呼ばれるアルコール度数約8%のビールに似た液体になります。
蒸溜について
リンクウッド蒸溜所は2回蒸溜を採用しており、初溜用のウォッシュスチル(容量15000リットル)が3基と、再溜用のスピリットスチル(容量17000リットル)が3基の合計6基のポットスチルを使用しています。
スピリットスチルがウォッシュスチルよりも大きいのは珍しく、これによって、銅との接触面積が大きくなることで、よりクリーンな原酒になります。
また、リンクウッド蒸溜所はとても珍しく、スチルハウスがを2軒持っているのですが、1996年以降はそのうちの1軒のみが使用されています。
ウォッシュはまずウォッシュバックに移され、最初の蒸溜が行われます。これによって得られる蒸溜液はローワインと呼ばれるアルコール度数約21%の無色透明な液体になります。
次にローワインはスピリットスチルへ運ばれ、2度目の蒸溜が行われます。この時回収される蒸溜液はミドルカットとよばれる方法で回収されます。蒸溜の最初の部分と最後の部分はカットされ、その間のハートと呼ばれる熟成に適した中間部分のみが回収されます。
再溜後に回収された蒸溜液はニューメイクまたはニューポットと呼ばれるアルコール度数約70%の液体になります。
樽詰めと熟成について
ニュースピリットは樽詰めされると、熟成庫へと運ばれます。
リンクウッド蒸溜所は、伝統的なダンネージ式の熟成庫と、ラック式の熟成庫の両方があります。
また、使用する熟成樽はアメリカンオーク樽と、スペイン産のシェリー樽を組み合わせて使用しています。これらの樽は、蒸溜所が長年関わっているアメリカの蒸溜所と、スペインのワイン醸造所から厳選しています。
リンクウッド蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?
以下、紹介文・テイスティングノートなどは商品紹介ページより翻訳しています。
リンクウッド 12年
果物と花の香りの庭が、滑らかで、長く、複雑でありながら、完全に調和された、このシングルモルトウイスキーは、ナッツのようなシリアルのノートと芳香のあるドライなフィニッシュを備えた、リッチでオイリーな口当たりを持っています。
リンクウッドは、伝統的なウイスキーグラスで、ストレートまたは少量の水でお飲み頂くのが最適です。
テイスティングノート:
色 | オールドゴールド |
ボディ | 口いっぱいに広がり、滑らかでミディアムボディ。 |
香り | 第一印象は新鮮なソフトフルーツで、背景に微かにバニラがある。 次に、軽い葉巻の箱の香り、高価な女性の香水のかすかな香りがある。 加水すると、カーネーションとラベンダーが開き、煙の香りがする。 ジューシーな緑色の棒、次に杉の木の痕跡があり、ポマンダーまたは乾燥したオレンジの皮がある。 |
味 | 口いっぱいに広がり、なめらか。 全体的に甘い。 粘性があるが、フレッシュでクリーン。心地よい酸味がある。 |
余韻 | 長いフィニッシュに杉の香りが浮かび上がる。 |
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