ウイスキーは高濃度のアルコールを含む蒸留酒であるため、ワインや日本酒のような醸造酒に比べ比較的劣化がしにくく、保存がしやすいお酒です。ですが、1年以上保存しようとした場合、環境によっては大きく香味が変化してしまうこともあるため、適切な保存方法を実施することはウイスキーを楽しむうえで重要な要因になってきます。
この記事では、適切な保存方法を5つと、やってはいけない保存方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください*。
*ウイスキーの香味変化をなるべく起こさない保存方法を「適切な保存方法」、香味変化を起こし得る方法を「やってはいけない保存方法」としています。変化後の方が美味しく感じる場合もあるので、ウイスキーが美味しくなる・まずくなるという話ではない点は注意してください!
劣化を防ぐ保存方法ベスト5!
手間と費用、効果の大きさなどを考慮して独断と偏見でランキング形式にしています。理想を言えばこのランキングすべてをやっていただきたいのですが、あまり、お金も手間もかけたくないという人はランキング1~3位を実践するだけでも十分ですので、ぜひ参考にしてみて下さい!
第1位 ボトルは寝かさずに立てる
ワインではボトルを寝かせて何年も保存を行うため、お酒のボトルは横に寝かせたほうがいいんだ、という印象を持っている方もいるかと思いますが、ウイスキーでは絶対にやめてください!
ウイスキーのようなアルコール度数の高いお酒を横に倒すと、栓をしているコルクが劣化してしまいます。お酒にコルクの成分が溶け出して香味変化をもたらすだけでなく、最悪栓が抜けてウイスキーが漏れ出てしまうこともあるためウイスキーのようなアルコール度数の高いお酒は立てて保存しましょう!
第2位 熱と光を避ける
これもよく言われていることだと思いますが、お酒は極端に暑かったり、光が当たるなどすると、中の成分が科学反応を起こして変性してしまいます。これは香味の変化をもたらすため、できるだけ冷暗所で保存する方が望ましいです。
温度は極端に暑くなければ平気ですので、室温で大丈夫だと思います。窓の近くなどは避け、一日中暗い場所に保存しましょう!
第3位 匂いの強いものの近くに置かない
アロマキャンドルや芳香剤の近く、冷蔵庫の中などに保存することは避けましょう。中のウイスキーに香りが移ってしまったり、ビンやラベルなどにも香りが移ってしまいます。そうなると、飲むときにビンを触った手にも香りが移り、ウイスキーの香味を邪魔してしまう可能性が高くなってしまいます。
第4位 量が少なくなったら小さなボトルに移す
香味変化をもたらす要因の一つが酸化です。しっかりと栓をしても、ボトルの中には空気が入ってしまうので、その空気と反応して酸化が起きてしまいます。この酸化反応は瓶の中のウイスキーの量が少なくなればなるほど、ウイスキーに対して空気の割合が多くなり、反応は早く進みます。理想的には開栓後すぐに60ml程度の飲み切れる量に小分けにして保存し、飲むときには小瓶一本飲み切るという方法が最適です。ですが、それはあまりにも手間なので、残りの量が3分の1以下になったら小瓶に移す程度で十分効果があると思います。
また、長期保存を目的とする場合は以下のことに気をつけてください
ガラス製の瓶を使用する
ポリエチレンなどの合成樹脂で出来たボトルは高濃度のアルコールによって分解される可能性が高いため、必ずガラス製のボトルを使用してください。この際、注意していただきたいのがボトルのキャップです。ボトル自体はガラスでも、ボトルのキャップにポチエチレンなどが使用されていることがあるので、キャップのアルコール耐性の有無を必ず調べてからボトルを購入してください。また、茶色などで着色された遮光瓶を使用するとさらに劣化を防げます。
おすすめのボトル↓
こちらの小瓶は、アズワンという研究機器を開発している会社が販売しているサンプル瓶で、キャップもポロプロピレンというアルコール耐性のあるものを使用しています。
使用前や再利用時は、煮沸消毒・消臭をして十分に乾燥させてから使用することをお勧めします。
第5位 パラフィルムを使用する
最後はこちらです。「ウイスキー 保存方法」で検索すると必ずといってもいいほど出てくるのがパラフィルムです。バーなどでも使用しているところも多く、ウイスキーの保存方法としてよく推奨されている方法です。
なぜこれを5位にしたかというと、パラフィルムを使うことは手間とお金がかかるのはもちろんのこと、ガス浸透性がある*ため多くの人が期待しているほど酸素の流入を防いだり、アルコールの揮発を防ぐ効果はないと判断したからです。
しかし、水蒸気のような粒の大きな粒子は浸透しにくくなるため、液面低下などにはある程度効果があると思われます。しないよりはした方がよいのは確実です!
やってはいけない保存方法!
次に紹介するのは「やってはいけない保存方法」です。ただ、「やってはいけない」と表現しましたが、ウイスキーの香味変化をもたらす可能性が高い、というだけなので特にご自身の考えがあって行う分には何も問題はありません。
まず紹介するやってはいけない保存方法は、先ほど「劣化を防ぐ保存方法ベスト5!」で紹介したものの逆です。
横に倒す。
暑く光の当たりやすい場所に置く。
匂いの強い物の近くに置く。
量が少ないまま放置する。
です。これ以外に、私は不活性ガスを注入して酸化を防ぐ「プライベート・プリザーブ」を使用した保存はおすすめしません!
ワイン保存用ガス「プライベート・プリザーブ」を使用する
プライベート・プリザーブとはワインの保存用に開発された商品で、アルゴンや窒素などの不活性ガスを注入して、お酒と酸素との接触を防いで酸化を防止するというものです。この仕組みだけ聞くと、理にかなっているように思えますが、なぜ私がお勧めしないかというと、プライベート・プリザーブを使用して1年保存した場合、使用しないで1年保存した場合に比べ香味変化が大きかったという報告*があるからです。
ワインの保存用に開発されたため、ウイスキーの長期保存を保証する商品ではなく、またデータも少ないため、あまりお勧めしません。
先ほどの報告は、正式に論文として発表されたものではないため、信用度は低いですが、少なくとも酸化を防ぐという目的なのであれば、プライベート・プリザーブを使用するよりも小瓶に移した方が無難であると思います。
*参考:「Open Bottle Storage: Private Preserve」
まとめ
ここまで紹介した内容をまとめます。
・匂いの少ない、冷暗所で立てて保存する。
・量が少なくなってきたら小瓶に移す。
・パラフィルムをまくと、なおよし!
・プライベート・プリザーブの使用はおすすめしません、、
最後にウイスキーの劣化を防ぐ最適で確実な方法を紹介します、、、
それは、すぐに飲み切るです!
以上、この記事が何かお役に立てれば幸いです。
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