グレンドロナック蒸留所特集!製法・歴史・種類の特徴を徹底解説!

スコッチ
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グレンドロナック蒸溜所はどこにあるの?

グレンドロナック蒸溜所は、スコットランドの北東に位置するハイランド地方のフォーグにあります。

『Glendronach(グレンドロナック)』はゲール語で『木苺の谷』という意味だそうです。

また、フォーグの年間平均気温は以下のグラフの通りで、年間を通して気温差が少ないとても穏やかな土地です。

データ元:NOAA

グレンドロナック蒸溜所の歴史について教えて!

1771年、『GLEN HOUSE(グレンハウス)』が建てられました。この家はもともと「Boynsmill(ボインズミル)」と呼ばれていましたが、1826年に蒸溜所が建設されたとき、ジェームズ・アラダイスによって改名されました。

1830年、蒸溜所はWalter Scottに買収されました。

1860年代、グレンドロナックはハイランド地方の蒸溜所の中で最も多くの税金を支払うほど、規模が大きくなりました。この時、労働者とその家族を含め50人以上がこの現場に住んでいました。

1920年、Captain Charles Grant(キャプテン・チャールズ・グラント)が蒸溜所を買収しました。チャールズはグレンフィディック蒸溜所の創設者の息子です。

1960年、蒸留所はWilliamTeacher&Sonsに買収されました。ティーチャーズは蒸溜所のポットスチルの数を2基から4基に増設しました。

1996年、蒸留所は所有者であるAlliedDistillersによって生産が停止していました。

2002年、グレンドロナックは完全に生産を再開しました。

2005年、AlliedDistillersがペルノリカール社に引き継がれたことにより、グレンドロナックはシーバス兄弟に渡されました。また、同年蒸溜器の加熱方法を石炭の直火から蒸気加熱に変更しました。

2008年、蒸溜所はBenRiach Distillery Company Ltdに買収されました。

2016年、Brown-Formanが蒸溜所を引き継ぎました。

製法の特徴は?

原料について

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1996年に一度操業が停止するまでは、グレンドロナックでは精麦(モルティング)を自分達で行っていました。しかし、2002年に生産を再開したときにモルティングを辞め、すべてスコットランドの精麦業者から大麦麦芽を買い付ける方法に変更しました。

そのため、現在でもモルティングフロアや乾燥のためのキルンなどがあります。

グレンドロナックではノンピートの大麦を使用することがほとんどですが、試験的にピートを効かせた大麦を使用して仕込むこともあります。

キルン 出典:Whisky.com

粉砕機について

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買い付けたモルトはまず、2段式のローラーミルによって粉砕され、グリストと呼ばれる粉末になります。

グレンドロナックでは1925年から使用している粉砕機を現在でも使用しており、6時間に3.67トンのモルトを粉砕しています。

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糖化について

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粉砕が終わると、グリストは糖化槽へ運ばれ、温水と混ぜられ糖分を水に溶けださせます。

この時の水の温度が重要で、一回目は64℃のお湯により糖分を回収することで、大麦に含まれる糖化酵素を活発に働かせ、なるべくデンプンを糖に変換させます。

次に、2回目は86℃に温度をあげた水と混ぜることで、できるだけ糖分を回収するのと、タンパク質など様々な物質の溶け出しを促進することで、次の発酵の工程で複雑な香味物質の産生をもたらします。

最後に3回目は94℃の熱湯と混ぜるのですが、この時の回収した液は発酵には回さずに、次の一回目の糖化の仕込みに利用されます。

回収した麦汁は冷却され、発酵槽へ運ばれます。

発酵について

ウォッシュバックの中 出典:Whisky.com

グレンドロナックでは9基の木製の発酵槽(ウォッシュバック)を使用しています。容量はすべて同じで約18000リットルです。

木製のウォッシュバックを使用することで、木にその蒸溜所特有の酵母や乳酸菌が住み着き、独自の風味をもたらしてくれます。

ウォッシュバックに移された麦汁は液体酵母が添加され、発酵が開始します。発酵は最低でも60時間行われ、状態をそれぞれ見極めて66時間で発酵を終えるものもあれば、72時間かけるときもあります。

蒸溜について

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グレンドロナックでは初留用のウォシュスチルが2基と再溜用のスピリットスチルが2基の合計4基のポットスチルを使用しています。

初留は6時間かけてウォッシュスチルで行われます。6時間は一般的な蒸溜時間よりも少し長いのですが、これによりグレンドロナックの求める香味成分を回収できるのです。

また、初溜後の蒸溜液をローワインと呼ぶのですが、これは一般的にはアルコール度数21~4%程度なのですが、6時間の蒸溜により、やや高い度数26%のローワインが回収されます。

ローワインはスピリットスチルへ運ばれ、2回目の蒸溜が行われます。2回目の蒸溜後の液はニュースピリットまたはニューポットと呼ばれ、樽に詰められ熟成することでウイスキーに変化していきます。

また、グレンドロナック蒸溜所のポットスチルの対面の壁は大きな窓になっており、外からポットスチルが丸見えなのも特徴的です。逆に室内からは美しい外観が望めます。

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樽詰めと熟成について

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グレンドロナック蒸溜所はシェリー樽を使って熟成させることがほとんどで、全体の約85%がシェリー樽になります。シェリー樽にも様々な種類があり、オロロソやペドロヒメネスなどを使用しています。

また、熟成庫は石造りになっており安定した低い温度と十分な湿度を保ってくれるため、ゆっくりと熟成が進んでいきます。

おすすめ動画

以下にグレンドロナック蒸溜所の紹介をしている、おすすめの動画を貼っておきます。
動画の内容は英語なのですが、ここまでの記事を読まれた方なら英語が苦手な方でも十分楽しめる内容になっていると思います。なかなか行くことが難しいグレンドロナック蒸留所の疑似工場見学体験を楽しんでいただけたら幸いです。

おすすめ動画:Glendronach Distillery Visit(YouTube)

グレンドロナック蒸溜所はどんなウイスキーを出しているの?

以下、紹介文・テイスティングノートなどはグレンドロナック蒸溜所のホームぺージより翻訳しています。

グレンドロナック ザ ヒーラン 8年

ザヒ―ラン8年は、バーボン樽またはジェリー樽で最低でも8年間熟成された原酒を組み合わせています。冷却濾過なし、46%で瓶詰めされており、甘いバターの香りとスパイシーなシェリーの香りが特徴的です。「ヒ―ラン」とはハイランド地方の方言のことです。

テイスティングノート:

光沢のある、銅の輝きを持つ琥珀色
香りオレンジの花、柑橘類、ゴールデンサルタナ、日干しレーズン、熟した黄色いプラム、バター
オークスパイス、サルタナ、アプリコットジャム、ジンジャーブレッド、バタースコッチ、ココア、トーストしたアーモンド
余韻クラッシックなシェリーの複雑さが、伝統的なハイランドの特徴を示している

グレンドロナック 12年

最高級のスペインのペドロ・ヒメネスとオロロソのシェリー樽を使用して、最低でも12年間熟成された原酒を組み合わせています。冷却濾過なし、43%で瓶詰めされており、甘くてクリーミーな特徴があります。

テイスティングノート:

深みのある琥珀色のレッドゴールド
香り甘くクリーミーなバニラ、生姜、スパイスの効いたグリューワインと洋ナシ
リッチでクリーミー、シルキースムース。 温かみのある濃厚なオークとシェリーの甘さ、フルボディ、レーズンとソフトフルーツ。 中程度のドライな仕上がりでスパイシー
余韻長く、しっかりしていて、少しナッツっぽい。

グレンドロナック 15年

アンダルシア産のペドロ・ヒメネスとオロロソのシェリー樽で、最低でも15年間静かに熟成された原酒を使用しています。冷却濾過なし、46%で瓶詰めされており、ダークフルーツやチョコレート、マヌカハニーの香りが特徴的です。

テイスティングノート:

アンティークブロンズ
香りマラスキーノチェリー、熟したブランブル、ダークチョコレートミント、微かにオレンジビターズとクルミのリキュール
ブラックチェリー、アンジェリカ、黒砂糖のクレッシェンドを添えた蜂蜜釉アプリコットと熟したイチジク
余韻ダークマヌカハニー、ハーブビターズ、ダークチョコレートで長く包み込むようなフィニッシュ

グレンドロナック 18年

最高級のスペインのオロロソシェリー樽で最低でも18年熟成された原酒くを使用しています。冷却濾過なし、46%で瓶詰めされています。この崇高で豊かなシェリーは本当に忘れられません。

テイスティングノート:

黄褐色の明るいディープゴールド。
香りファッジと黒砂糖の甘い香り。 フルーツコンポートとモレロチェリーは、さらに複雑さを与えます。
濃厚で魅惑的。 フルーツの煮込みとオールスパイスの素晴らしいフレーバーが、クラシックな熟成オロロソシェリーとトーストしたクルミのパンとチョコレートオレンジの組み合わせと調和しています。
余韻非常に複雑で長い。

グレンドロナック 21年

最高級のオロロソとペドロ・ヒメネスのシェリー樽を組み合わせて最低でも21年間熟成させた原酒を使用しています。このシングルモルトは、強い果実味を提供するというグレンドロナックの偉大な伝統を引き継いでいます。「parliament」とは、200年近くグレンドロナック蒸留所を見下ろす木々に営巣しているミヤマガラスのコロニーまたは「議会(parliament)」にちなんで名付けられました。 48%で瓶詰めされ,冷却ろ過されていません。

テイスティングノート:

桜の木の光沢のある深い琥珀色。
香り熟した秋の果実、特にブラックベリーと赤いプラムの繊細なミックス。リッチなオロロソシェリーと砂糖漬けのオレンジセグメント。スパイスの効いたオートミールビスケットとトーストしたオークの香りが、優れた重量とバランスをもたらします。
自家製プラムプディングにたっぷりと塗られた、上質なオロロソシェリーとビターチョコレートソースの毅然とした味わい。シナモン、オールスパイス、ナツメグなどの素晴らしいスパイシーな香り、滑らかなタンニンでフルボディ。
余韻とても長い

グレンドロナック ピーテッド

グレンドロナックの伝統的なノンピートの特徴とは対照的に、グレンドロナック「ピート」は、ピートうぃ効かせた大麦麦芽を使用して蒸留されています。グレンドロナック「ピート」は、蒸留所の初期の頃に伝統的なフロアマットで大麦麦芽を乾燥させるために歴史的に使用されていた泥炭に敬意を表しています。この微かなピートの香りは、クラシックなグレンドロナックハイランドの特徴と木から引き出された豊かなシェリーの香りを与えます。

テイスティングノート:

鮮やかな大麦の金色
香りシナモンシュガーをまぶした熟したグーズベリーの心地よい香りと、それとは対照的なさわやかな柑橘系の香りが組み合わされています。繊細なピートの影響は、挽きたての大麦とバニラタフィーで満たされ、微かに焦げた木の特徴を与えます。
鮮やかなオークのスパイスとフローラルヘザーハニーがローズヒップと麦芽糖に変わり、全体ホワイトペッパーで温められます。微かなピートの香りは、輝くキャンプファイヤーの残り火の繊細な深さとドライな印象を与えます。
余韻さわやかなフルーツと大麦を含んだハイランドの特徴が、穏やかなピートの煙に囲まれ、遠くのグレンで燃える杢を思わせるユニークな組み合わせです。

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