今回は、蒸溜所の構想を少しお話したいと思います。
1回目の記事「ウイスキーメディア始めました」でも書いたのですが、私は将来「ウイスキーづくり体験ができる蒸溜所」を作ろうと奮闘しています。
ウイスキー作りに必要な設備や要件、他の蒸溜所での製造工程を調べている過程でなんとなく自分がやりたい方向性が見えてきたので、それをお伝えしたいと思います。
なぜ蒸溜所を作りたいのか
まず、そもそもなぜ蒸溜所を作りたいと思ったのかを説明させてください。
大学3年生のときからウイスキーにどっぷりハマり、その歴史や製法なんかを調べているうちに自分でも作ってみたいという気持ちが出てきました。
そんなとき、ニッカの余市蒸溜所や宮城峡蒸溜所が定期的にマイウイスキーというウイスキーづくり体験を実施していることを知りました。毎回応募しているのですが倍率が数十倍ととても高く、未だに当選したことがありません。
当選の時期になるとTwitterやFacebookのウイスキー界隈で当選・落選の話題でひと盛り上がりあるのが恒例です(笑)
そこで、私は思いました。
こんなにウイスキーを作りたい人たちがいるのに、どれだけの人がその夢・思いを叶えられているんだろうか。
ウイスキーづくり体験を実施している蒸溜所は基本的に年に数回しか実施しないため、ウイスキーを作りたいという需要に供給が間に合っていません。
もっと、ウイスキーを作るというハードルを下げられないかと考え、
「ウイスキーづくり体験ができる蒸溜所」
を作ろうと思いました。
これは、もちろん自分の為というのが大きいですが、同じようにウイスキーを作りたいと思っている人、もしくはただの観光のノリでもいい、ウイスキーづくりの体験によって、その人の人生に少しでも色が足されたら素敵だなと思い、蒸溜所を作ろうと決めました。
現在北海道に住んでいるということと、観光地としても北海道は魅力的な場所なので、北海道の札幌近郊に蒸溜所を作って、北海道に観光に来た人たちにガラス吹き体験のようなノリで体験してもらったり、結婚や子供が生まれた記念としてウイスキーを作りに来てもらえるような蒸溜所になればいいなと思っています。
ウイスキーは出来上がるまでに数年間もの長い時間、樽の中で熟成させなければいけません。
その必要な時間に、「浪漫や価値」があると思うんです。
体験時には出来立てのニューメイク(樽熟成をする前のウイスキー)をお土産として持って帰ってもらい、数年後に熟成したウイスキーをお送りして、体験時のことや経過した時間に思いを馳せながら飲んでいただきたい。
そうして、少しでもウイスキーを好きな人を増やしたり、すでに好きな人には新しい楽しみ方をしてもらえたらいいなと思っています。
また、自分達で作っているというのをより感じていただくために大規模な蒸溜所ではなく比較的小さな蒸溜所にしようと考えています。
なぜバーボンの作りを踏襲したいのか
この記事のタイトルにもなっていますが、蒸溜所ではバーボンの作りを踏襲したウイスキーを作りたいと思っています。バーボンとはアメリカで作られているウイスキーなのですが、スコッチやジャパニーズウイスキーとは作り方がかなり異なります。
なぜバーボンの作りを踏襲したウイスキーを作りたいと思ったのか、もちろんバーボンが好きというのは大前提なのですが、その他に理由は大きく3つあります。
・北海道に原料がそろっているから
・誰もやっていないことをやりたい
・熟成期間が比較的短く商品化までが早いから
順番に詳しく説明します。
北海道に原料がそろっているから
まず一つ目の理由「北海道に原料がそろっているから」について説明します。
バーボンの原料は基本的に「トウモロコシ」「ライ麦」「大麦」の3つを使用します。
そして、これらすべての原料が北海道で調達できます。
特に日本では、主原料であるトウモロコシは北海道のイメージが強いので、せっかく北海道でやるからには北海道らしさがあったほうが沢山の方に興味を持ってもらいやすいのではないかと考えました。
また、「北海道産100%のウイスキー」を目指すというのは、地元の原料を使ってウイスキーづくりをするという昔ながらのスタイルに浪漫があると思いました。
これは地産地消・地域活性化の面でも役に立てることだと考えています。
課題としては、北海道で育てている大麦は二条大麦という種類の大麦なのですが、バーボンで使われるのは通常、六条大麦という種類の大麦なのでその違いがどう影響するかが気になるところです。
二条大麦は六条大麦に比べ糖化酵素の力が弱いので、大麦の比率を上げたり、糖化時間を長くすることで酵素力の違いを解決できるような気もします。また、むしろ二条大麦の方が好ましい味・香りを作れる可能性もあるので試行錯誤していくのが楽しみです。
誰もやっていないことをやりたい
次に「誰もやったことがないことをやりたい」について説明します。
日本にある蒸溜所は基本的にスコッチの作りを踏襲しています。
それは、日本で初めてウイスキー蒸溜所を作った竹鶴政孝という人物がスコットランドに修業に行き、その技術・知識を持って帰ってきたという歴史があるからです。
現在、日本では数多くの蒸溜所があるなかでバーボンの作りを踏襲したウイスキーを作っている蒸溜所は私が知る限りありません。
日本でバーボンの作りをしたらどんなウイスキーができあがるのだろうか、そういった興味・好奇心から、誰もやっていないなら自分がやろうと思いました。
また、誰もやっていないことをやるというのは、大変な道だとは思いますが、その分やりがいも人一倍あると思うので「バーボンの作りをする」というのが面白そうだと感じました。
居酒屋などでよく見かけるジムビーム、あれもバーボンです。日本でもバーボンが好きな人がたくさんいるのだから、自分達でも作ってみようという感覚は共感していただける人が多いのではないでしょうか。
熟成期間が比較的短く商品化までが早いから
最後に「熟成期間が比較的短く商品化までが早いから」について説明します。
スコッチの作りでは平均10年程度熟成させてから出荷されるのですが、バーボンの作りでは平均3、4年程度の熟成期間で出荷されます。
商品化までが早いと、売り上げを早期に上げられる、需要に対する供給の調整がしやすく経営が安定化するというメリットがあります。また、トライ&エラーの回転も早くなるのでより美味しいウイスキーを作るという点に対してもメリットが生まれるのです。
将来的にスコッチ好きの人、バーボン好きの人、みなさんに来ていただきたいという思いがあるので、スコッチの作りを踏襲したウイスキーも作っていきたいのですが、商品化までに時間がかかってしまうので、まずはバーボンのつくりをして経営を安定化させることが優先ではないかと考えました。
小規模蒸溜所の機動力を生かして、いろいろなことに挑戦していける蒸溜所を作りたいと考えています。
終わりに
まだ、構想の段階で具体的に何をしていけばいいかは決まっていない段階ですが、なんとなく道が見えてきました。
楽しみながら、進めていきたいと思います。
何か進捗があれば随時、報告していきますのでお楽しみにお待ちください!
それではまた、お会いしましょう!
乾杯!
コメント