バーボンの原料トウモロコシ、ライ麦、小麦が蒸留酒の香味に与える影響/違いを発表した論文をわかりやすく解説します!

ウイスキーの科学
出典:whisky.com

この記事では、『Journal of the Institute of Brewing』という醸造関連の科学雑誌に2012年に掲載された以下の論文を紹介します。

Volatile composition of raw spirits of different botanical origin
日本語訳:『異なる植物由来の蒸留酒に含まれる揮発性成分』

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まず結論から

まずは、皆さんが一番知りたいであろう結論から紹介します。
詳しいサンプルの条件や考察などはそのあと紹介するので、興味のある所だけ読んでいただければと思います。

まず、以下のグラフをご覧ください。

小麦、トウモロコシ、ライ麦、ライ小麦由来の蒸留酒に含まれる成分のグラフ

「WHEAT」は小麦、「MAIZE」はトウモロコシ、「RYE」はライ麦、「TRITICALE」はライ小麦(ライ麦と小麦の交雑種)を表します。それぞれの穀物から蒸留酒を作り、エステル、アセタール、高級アルコールの割合を調べました。

エステルは果実のようなフルーティーな香味を、
高級アルコールはマジックインクのようなにおいがするといわれています。

グラフを見ると、右上のトウモロコシでは顕著にエステル類の割合が多く、他3種類の穀物には大きな差はみられませんでした。また、トウモロコシは高級アルコールが極端に低いこともわかりました。

考察

小麦やライ麦などに含まれる高級アルコールの種類と量が多いほど、若いスピリットでは辛くなりますが、これらは熟成中の化学反応によりアセタールやエステルに変化する可能性があり、香味に複雑さをもたらすと考えられます。

一方、トウモロコシはほとんどがエステル類のため香りの複雑さは低くなる傾向にあると考えられます。実際、よりクリーンで甘いバーボンを求める場合はトウモロコシの比率を多くするそうです。逆に、スパイシーでオイリーな香味を求める場合はライ麦の比率を高くします。

このデータ以外にも、本論文では小麦、トウモロコシ、ライ麦、ライ小麦それぞれで特有の成分があると発表しており、将来、バーボンを検査にかければトウモロコシやライ麦の比率が計算できるようになるかもしれません。

もし、そうなれば偽物防止やさらなる商品開発に役立ちます

特定された成分を知りたい方は以下に載せておきます。「+」と書かれているのが、その成分が入っていた、「ー」と書かれているのが入っていなかったという意味です。

成分の名前トウモロコシライ麦ライ小麦小麦
1,1,3‐Triethoksypropan+
2,5‐Dimethylfuran+
2‐Butylfuran+++
2‐Pentylfuran+++
Butan‐2‐ol+
Propyl decanoate+++
Furfural+++
2‐Methylpropyl acatate+
Hexyl acetate+
Propyl acetate+
Propyl octanoate+++
Ethyl propanoate+

サンプル条件

それぞれの蒸留酒はポーランドのポメラニアン地域にある農業蒸溜所から集められました。それぞれのサンプルのエタノール濃度は約90%でしたので、一般的なバーボンの蒸溜時の値よりもはるかに大きいという点に関しては注意が必要です。

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