トップノートとフィニッシュで香りが変わるのはなぜ?

ウイスキーの科学

今回は、トップノートとフィニッシュについて考察したいと思います。
どうして、飲む前と後で感じる香りが違うのか科学的な視点から考えていきます。

トップノートとフィニッシュとは

ウイスキーのテイスティングノートではトップノートとフィニッシュという項目がよく見られます。トップノートとはグラスから嗅いだときの香りのことで、フィニッシュとは飲み込んだ後の余韻の香りのことです。

トップノートとフィニッシュ以外には、「味」と「色」がテイスティングノートに書かれることが多いです。

ウイスキーを飲んだことのある人は、トップノートとフィニッシュの香りが大きく違う、という経験をしたことがあるのではないでしょうか。トップノートでは感じなかった香りが、フィニッシュでは強く感じたり、その逆であったり。

今回は、なぜトップノートとフィニッシュの香りが違ってくるのか科学的に考察します。

なぜトップノートとフィニッシュの香りが違うのか

単純に考えたら、匂いの発生源はトップノートもフィニッシも同じ「ウイスキー」なのでグラスからかおる匂いと、鼻から抜ける匂いは同じであってもおかしくはありません。しかし、実際は大きく異なることが珍しくありません。

その理由は主に2つあると考えられます。「温度変化」と「唾液による加水」です。

温度変化

まず、一つ目の理由「温度変化」について説明します。室温が20℃だとすると、飲み込んだ人の体温は約37℃ですので17℃の温度差があります。食べ物を温めるといい香りが立つのと同じように、ウイスキーも17℃温度が上がることによって、より香りが立ってくると考えられます。

科学的に考えても、温度が上がると蒸気圧が上昇し、気化しやすくなるため、人の体温により香り成分が気化しやすくなった結果、感じる香りが変わるのだと考えられます。

また、ここから考えられるのは、温度差が大きければ大きいほどトップノートとフィニッシの感じ方も変わるだろう、ということです。実際、同じウイスキーを室温と冷凍庫から出してくるのだとトップノートの感じ方が違ってくるのがわかると思います。

日によって、同じウイスキーでも印象が違うということをよく聞きますが、体調の変化だけではなく室温の変化が原因かもしれません。

唾液による加水

次に、二つ目の理由「唾液による加水」について説明します。ウイスキーは加水すると香りが変わるというのは知っている人が多いと思います。ウイスキーには約45%のアルコールが含まれているため、水には溶けにくいような香味成分も溶けることができます。しかし、加水するとアルコールの濃度が低下するため、溶けていた成分が析出して、香りのバランスが変化します。そのため、加水前と後で香りの感じ方が変化します。

これと同じことが唾液によって行われていると考えられます。唾液はほとんどが水分ですので、口に含んだウイスキーと唾液が混ざることでアルコール濃度の低下を起こし、結果として香りの感じ方を変えるのだと考えられます。

また、例えばウイスキーを口に含む量と唾液の量が同じになることによって、アルコール濃度が半分になるとすると、アルコール濃度が40%の場合は20%に、4%の場合は2%になります。ここから、アルコール濃度が高いほうが、唾液による濃度の低下が大きいことがわかります。

つまり、アルコール濃度が高いほうが、唾液による加水によって香りの変化が大きいことが予想されます。実際に水割りとストレートで、トップノートとフィニッシュの香りの違いを比べてみて下さい。ストレートの方が大きく印象が変わると思います。

おわりに

いかがだったでしょうか、トップノートとフィニッシュでなぜ香りがこうも劇的に変化するのか、私なりに考察してみました。

「他にもこんな理由・原因があるんじゃない?」という人がいればぜひコメントして教えて下さい!
一緒にウイスキーについて考えましょう。

それでは、またお会いしましょう!
乾杯!

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