【樽の科学】焼き付け(チャーリング)がウイスキーに与える影響

ウイスキーの科学

前回の記事『【樽の科学】木材の乾燥工程がウイスキーに与える影響』の続き、焼き入れ(チャーリング)の工程がウイスキーに与える影響について紹介します。

前回の記事はこちら

チャーリングとは

チャーリングとは、木材を使って樽を成形後に樽の内側表面を焼き付ける操作のことを言います。アメリカのバーボンでは、法律で「新品の炭化皮膜処理されたオーク樽を製造に用いること」という条件があり、炭化皮膜処理がチャーリングのことです。

チャーリングがウイスキーに与える影響

チャーリングには直火を直接あてて行うものと、遠火の遠赤外線で焼き付ける「トースト」という2種類の方法があります。

直火を直接当てるチャーリングは、トーストに比べ短時間で処理できるというメリットがあるのに対し、炭化するのが表面から3ミリ程度と、トーストの7ミリと比べ少なくなってしまうという面もあります。炭化の深さが深いほど、より樽の成分が溶出しやすくなるため、チャーリングかトーストかで熟成のしかたが大きく変わってきます。

また、チャーリングするのは木香を抑える役目もしています。木の香りが強くついてしまえばウイスキーのバランスを崩してしまうため、炭の膜を作ることで木材臭さを抑えるのです。さらにチャーリングはウイスキーに好ましい香りを生む操作でもあります。木の成分であるセルロースやリグニンを加熱処理することで、アーモンドの香り成分であるフルフラールやバニラの香りがするバニリンといった様々な香り成分を生成することがわかっています。

参考

・『ウイスキー通』p109-110 土屋守 新潮社
・『ウイスキーの科学』p119-123 古賀邦正 講談社

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